【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 伍

ep231 ページ34

そして手筈通り


「斎藤隊長宛にお手紙届いてますよー」と件の人物を訪ねた。

だが彼は筆を片手に机に向かったまま微動だにしない。


ヅラから聞いてはいたが、これは極度の口下手……というかそれ以前にシカト決め込まれてる感――。

まぁ、本人にそのつもりが無いのは手紙の内容で重々承知だけれど。



仕方なく「失礼します」と言って斎藤隊長の部屋へ入り、彼の目の前に手紙を差し出した。


「万事屋さんからですよ」


そう言えばおずおずと手紙を受け取った斎藤隊長。
私がいると何となく開封しにくそうな様子なので

「では失礼しますね」と私は早々に部屋を去った。


まぁ、心配は無いさ。
なんてったって真選組の頭脳たるこの私が銀時達と一緒に知恵を絞って編み出したアドバイスだからね！


要はヅラと仲良くなれればいいんだろう？言ってしまえば他の人達は後回しでいいわけだ。


なら簡単。ヅラ相手なら喋らなければいい。

まぁ、楽しくおしゃべりしたいのに喋らないっていうのは禅問答みたいな話だけれど実際そうなんだよ。






ヅラはまず他人の話を聞かない。自分が話してるときはなおさら。

そんでもって珍しく他人の話を聞いたと思ったらとんでもない勘違い解釈をして話題をカオス一色に塗り替える――


そう、わかるでしょ？そういう奴なんだよヅラは……。



つまりだ、今までまともに喋ったこともない斎藤隊長がヅラのカオス度120%の会話についていけるとはとても思えない。

なんなら斎藤隊長の小心者ぶりからして、トラウマを残しかねない。




ってことで会話は無理。ならなにも言わず、ただ笑ってればいいのさ！



ほら、笑顔は世界共通！宇宙共通！って言うじゃん？

それよそれ。
曖昧にテキトーに無難にほわーっと笑っとけば相手は都合のいい感じに解釈してくれるからね！


なんでも曖昧にしてやりすごす日本人らしくてとてもよい！うん！！

何の問題もないね！オールクリア！万々歳！








こうして意気揚々と自室に戻った私は後に知ることになる――……


斎藤隊長が私の去った後、1人で笑顔の練習をしていたこと。

そしてその笑顔が悪い意味でキラースマイル以外のなにものでもないことを――……。




　

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