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ep211 ページ14

「てかてめーなんでしれっと屯所から出てきてんだ。病人は寝てろって言ったろぉが」


そういえば、とAの体調のことを思い出した土方が言う。
だがそれにしれっと言葉を返す彼女。


「文句なら局長に言ってくださいね。許可したのはあの人ですから」

「近藤さんが……?」


驚く土方を横目にAは近藤の言葉を思い出していた。



 




――数時間前



皆が寝静まった頃にごそごそと服を着替えるA。辺りを窺いつつ部屋を出て廊下の角を曲がったその時、

待ち構えていた近藤と鉢合わせた。



「行くのか……」

「……止めても無駄ですよ」


グッと手を握りしめるA。だが近藤は彼女の予想に反してあっけらかんと言う。


「なに、止めるつもりはないさ」

唖然としているAを置いて近藤は続ける。


「俺も言えた話じゃないが、ここの奴らはどうも他人の想いに鈍くてな。まさか自分達が誰かに心配されているなんて毛ほども思わない奴らだ」

「……でしょうね」


Aは少し眉をひそめながらそう言った。それを見て近藤は「だが……」と続ける。


「だからと言って、君がこのまま何も言わなくていい理由にはならないと俺は思う」


その言葉に顔を上げるA。見上げた近藤はまっすぐと彼女を見据えていた。
核心を突かれたようで思わず目を逸らす。


「……それちょっとずるくないですか」

「はっはっは、確かにそうかもしれん。でも言えばわかる奴らだ。馬鹿じゃあないからな」


知ってる……

Aは小さく胸中で呟いた。


「何にも縛られない人間は確かに強いだろう。
だが、帰る場所のある者、思ってくれている人がいると知っている者はもっと強い。
俺はあいつらに後者であって欲しいんだ」


何も持たない人間より、守りたい何かを持つ人間の方が強い。
守りたい何かのために戦う――それだけは曲げるな。

その言葉はAにいつぞやの銀時の言葉を彷彿とさせた。



はぁ……と大きな溜息が廊下に響き渡る。


そしてすっと息を吸ってAは顔を上げる。



「……言わなきゃ分からないってんなら、言ってやります。だから行くんです」



そう言ったAに静かに頷き、近藤は彼女を送り出した。



 

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(プロフ) - ギラッフェさん» 了解しました! (11月27日 20時) (レス) id: 701fbdee56 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 壊さん» ご指摘ありがとうございます。確かにおっしゃる通りですね!その他誤字脱字含め見逃し多々あると思いますがふわ〜っと解釈しといていただけると助かります笑 (11月27日 20時) (レス) id: 245a809416 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ep241の「今度の新作抹茶パフェ明日奢ってやるから」なんですが、明日に奢るのなら「今日」「昨日」「この前」の方が文章的に分かりやすい思います。 (11月27日 19時) (レス) @page45 id: 701fbdee56 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Rさん» コメントありがとうございます。シリーズ開始から読んでくださってるんですね!すごく嬉しいです!いよいよ将軍暗殺篇を迎えて私自身、感慨深いです。これからも末長くよろしくお願いします。 (2020年8月27日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
R - はじめまして。こちらのシリーズが始まった頃から読ませていただいてます。大好きな将軍暗殺篇に入っていたので、思わずコメントさせていただきました。沢山の小説がありますが、一番と言っていいほどこちらのシリーズが大好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年8月27日 19時) (レス) id: f5157b02c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年5月14日 14時

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