ep154 ページ7
―貴女side―
江戸城の本丸に辿り着いた私はただ茫然とそこに立ち尽くし、眼を見開いていた。
「……な、んで……あの男が…………」
見覚えのある白い蓬髪に黒い袈裟。息を吸うことさえ忘れて冷や汗を流せば、忌々しい記憶がゆっくりと起き上がるように蘇ってきた。
嫌に薄暗く重い雲が立ち込めていたあの日……
――……間に合え……っ、間に合え……!
震える膝を前に進め、辿り着いたそこには静かに背を向けたまま膝をつく松陽と刀を握った銀時がいた。
二人の背後には縛られたヅラと晋助。嫌でも状況が理解できたし、松陽がどちらの選択肢を選べと言うかも、それを聞いた銀時がどちらを選ぶのかも手に取るようにわかった。
でも
「待って……っ……」
そう言わずにはいられなかった。
まだ何も言えてない。幼い私を招き入れてくれたあの日の感謝も、銀時達に出会わせてくれた感謝も……。
刀を抜いた銀時の前で松陽が振り返る。そして私を見つけるといつものように柔らかく目を細めて笑った。
そして、銀時に目を向けると「ありがとう」と……
確かにそう言った。
次の瞬間――……
鮮血と共に見慣れた淡い栗色の髪がふわりと舞ったのだった。
「松陽――――ッッ!!!」
弾かれるように地を蹴った私は刀を一気に抜いて、白い蓬髪、黒い袈裟の男に振り下ろさんとした。
だが次の瞬間、私の視界は暗転し、次に目を覚ました時には冷たい土の感触と共に地に伏せていた。
ふと起き上がれば右手には折れた刀、背後には片目から血を流す晋助。
茫然と眼差しを注いだ先の白い布の上には松陽の首が据え置かれていた――――。
そして私はふと零したのだった。
「ごめん、私……もう無理だ……」
松陽を取り戻す――……ただそれだけのために戦っていた私にはもう刀を握り、指令を出す意義など見つけられなかった。
その頃、崖下では司令塔を無くした攘夷志士達が混乱を極め、無惨に斬り捨てられていたにも関わらず――……。
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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時