【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 肆

ep168 ページ21

―貴女side―



とある日の仕事帰り。


道端で買ったまんじゅうを頬張りながら屯所への帰り道を歩いていた私は……



プルルルル……――



携帯の着信音で足を止めた。まんじゅうを咥えたまま画面を見れば、そこには珍しい名前。

何となく嫌な予感はするものの、携帯を少し耳から離してから通話ボタンを押した





その瞬間――――




《あぁーAかぁー！？久しぶりじゃなぁ！アハッ！アハハハハ！》


あれ、おかしいな。
携帯の設定、スピーカーにしてたっけ？

と思わず確認したくなるような大音量。




「相変わらず声がデカイよ、辰馬……」


《そう言うおまんの声は遠いな！もっと携帯近づけんと！！》



いや、そんなことしたら私の鼓膜が死ぬ。

なんて苦笑いしていると辰馬がサッと話をすり替えた。



《今、金時とヅラとプチ同窓会やっとるんじゃけどAもどうじゃ？》



は……？


同窓会？？？


いや、どうじゃ？も何もないでしょ……。むしろ同窓会とは？って感じじゃんそれ。



「何がどうしてそうなった？」

《来たら用意されとったんじゃよ。先にヅラと金時と一杯やっとって――……》



何も話が見えないのだが……。


思わず道のど真ん中で目を覆っていると、電話の先がごちゃごちゃと騒がしくなる。



《あ！勝手にワシの電話取るな、金時！》

《だから銀時だっつってんだろ！！》



一悶着あった後に通話相手は銀時に変わったらしい。



《あーA。取り敢えずこちとらオメーの頭脳が必要な状況なんだよ、今から穴乃井に来い》



相手が銀時になったとこで状況が1ミリも見えない。




「どういう状況？」

《詳しいことはオメーが来たら話す。来いよ！絶対来いよ！！》



ブツッ――……



そして一方的に切られる通話。


んー。これは来いよ来いよと見せかけての来るな、なのかな？


電話一本ですぐ来るとでも思われてんのかね？
生憎、真選組の参謀様はそんな暇じゃないっての。


暗くなった画面に舌打ちをして携帯を仕舞う。

そしてしばらくの考慮時間……。



私はもう一度携帯を出して局長にメールを送信した。


『今夜、帰り遅くなりますが御心配なく』



そして今来た道をまた引き返して歩き出す。


「穴乃井ね……行けばいいんでしょ、行けば」



銀時の金でせいぜい美味しい酒を飲んでやるとしよう。




……なんて考えていた私はまだ『攘夷志士同窓会』とやらの実態を知る由もなかったのだ。



　

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