ep179 ページ32
―no side―
攘夷戦争時代のある日――――。
門の屋根では銀時が見張りをしていた。
「見張りご苦労さん」
そこに桂が現れ、声をかける。
攘夷軍と幕軍、互いに痛手を負った白兵戦の後、山腹の寺に陣を構えた攘夷軍はいささかの優勢を保っていた。
「畳み掛けるなら今しかねぇとか言ってもいい?」
「バカを言え。動けぬのはこちらも同じ。この戦況で元気なのはお前と高杉くらいのものだ」
その言葉に門の傍らに佇んでいた高杉は不服そうな表情をしてみせた。
「辛抱ならんのなら似た者同士でやりあっていろ」
不服なのは銀時も同じだったらしく、桂に「冗談よせよ」と返して続ける。
「喧嘩売るにももう1ヶ月、口きいてねぇ」
「既にやり合った後だったか」
呆れたように目を瞑った桂の後ろで坂本が屋根に上がってきた。
「あははははは!あはははは!!おまんらほんと喧嘩ばっかしちゅうのぉ!仲がいい奴ほど喧嘩するとはまさにこのことか!」
「……お前、休んでた方がいんじゃねぇか?デリカシー斬り落とされたって聞いたぞ」
「あはははは!心配いらん。デリカシーならへその緒と一緒にとっくに切り落とした!」
思わず、はぁ…と分かりやすく溜息をつく銀時。そこで「そう言えば……」と何やら思い出した様子の坂本が言う。
「いつぞやみんなで遊郭にくり出した時、おまんと高杉で同じ子、指名したことがあったのぉ。
確か娘っ子が高杉の方がいいとか言って揉めちょったが、ひょっとしてあん時からずっと喧嘩して――」
がぎぃいいい――……!
続きを遮って銀時が坂本の足元に刀を振り下ろす。もれなく屋根の瓦が砕けた。
「あっぶねぇ……今向こうから流れ弾が……。気をつけた方がいいぜぇ?」
明らかに目を血走らせた銀時がガンを飛ばす。
そこへ
「ちょっと、うるさいんですけどー。元気なバカどもは大人しくしててくれませんかぁー?」
救護室から出てきたAが不機嫌そうに腕を組んで言った。
「ヅラ、監督者でしょー。ちゃんとそいつらのお守りしてよ」
「監督者じゃない!と言うかこいつらのお守りは無理だ!」
それを聞いてAは仕方なく、縁側から門の方へと出てきた。
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ギラッフェ(プロフ) - 腐った女子さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごく嬉しいです!励みにさせていただきますね!! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
腐った女子 - いつもこれが更新されるのを励みにしてます(笑) 更新頑張って下さい! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 59a5a46759 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 水神の狐さん» コメントありがとうございます!この回、性転換回というより野糞回だな…と個人的には思ってます笑笑 これからもよろしくお願いします! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
水神の狐(プロフ) - 安心と納得の野糞wwwめちゃめちゃすきです!!これからも更新頑張ってください! (2020年5月1日 18時) (レス) id: 5a6fe00bf5 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ジャスタウェイさん» ありがとうございます!もうお名前からして同志って感じで嬉しいです!これからも宜しくおねがいします! (2020年4月13日 16時) (レス) id: 7540e8ed1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年9月17日 19時