ep117 ページ20
その時、Aの溜息と重なってインカムから沖田と信女の会話が聞こえて来る。
「やっぱり……貴方も警察じゃない。私と同じ……人殺しの目」
互いの紅い瞳が交差する中、廃ビルの中は静寂に包まれた。
そこにAの声が響く。
《……いけるね?沖田君》
その問い掛けに小さく頷いた沖田は信女と睨み合ったまま言う。
「ザキ、近藤さんのこと頼まァ」
「総悟、まさかお前!?」
狼狽する近藤に「静かに」と言うA。
「近藤さん。コイツの狙いはボンクラの首でも、まして敵の首でもねェ……」
その瞬間、もはや鼓膜さえ揺らさないような微かな風切音と共にビルの支柱が崩れ去った。
「……俺の首でさァ」
その斬撃を難なく避けた沖田。だが信女は「いいえ」と言ってもう一振りの刀を抜いた。
「貴方のpi――よ」
――あら、熱烈。
そのやり取りを聞きながらAは可笑しそうに笑った。
《さて、局長と山崎君は指示した場所へ向かって下さい。あちらさんの切り札が来るのも時間の問題です》
2人は彼女の指示に小さく頷くと、その場を去って上階へと向かった。
その道中もAの指示は続く。
《2人はそこで待機して下さい。決して浪士達にも見廻組にも見つからないように》
「分かった」
近藤の了承を聞いてAは沖田と信女に視線を戻す。
そこでは互いの斬撃が月光に輝く中、一瞬の気の緩みさえ命取りになるような戦いが繰り広げられていた。
――まぁあそこは任せておこう……
「で、あちらはどうなってるか……」と視線を廃ビルの前に戻す。すると佐々木と土方の潰し合いが熱度を上げていた。
Aは鋭く響く銃声に顔を顰める。
「飛び道具かよ……分が悪いな……」
その言葉通り、弾丸を避けるのに必死で佐々木に近づくことすら出来ない土方。一方的な防衛戦を見てAは苦い表情をした。
――だからって佐々木を潰すのは諦めろと言っても……
「聞くわけないな」と笑うA。
そしてふぅ、と短く息を吐き出しインカムを押さえた。
《傍観者の面々、絶対2人の闘いに首突っ込むなよ……。首無くなるから》
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時