ep134 ページ37
その溜息を聞いた長官は不憫だとばかりの声色で言う。
「ばなっちゃんもだがアイツも相当頭がキレるからなァ」
長官の言うアイツとはつまり佐々木異三郎だ。
今回の件で佐々木局長に私の諸々がバレれば、真選組の立場が悪くなるのは必至。
彼が警察のデータベースで『橘A』と検索をかける前に消してもらわなきゃ困るという訳だ。
「まぁ、そんなのお安い御用ってもんよォ。ばなっちゃんには期待以上の働きしてもらってるからなァ」
「ありがとうございます。助かります」
「ではお願いします」と、そう言って切ろうとした私を「あー」と引き止める長官。
「どうしました?」と問えば
「近々、こっちの仕事してもらうかも知れねぇからそん時はよろしぃく」
ツーツーツー
とても不吉な台詞を残して通話を切られた。
“こっちの仕事”ってアレだよね……幕府関連ってことだよね……?
「うわ最悪……」と携帯の液晶を眺めつつ顔を顰めていれば
「あ、Aさん!」と山崎君の声がする。
「お疲れ、山崎君。銀時どうした?」
「Aさんの指示通り取り敢えず拘置しておきました!」
その報告に「うんうん、ありがとねー」と返して携帯をしまった。
そんな私を見ながら「旦那のこと、どうするつもりなんですか?」と控えめに問う山崎君。
どうするもこうするも……
屋上での自白だけじゃ検挙するには弱いし、私としては普通に証拠不十分で釈放したいところだね。
と思うが表向き、私にその決定権は無い。
「まぁ、局長か副長あたりが考えてるんじゃない?」
そう興味無さげに振る舞えば、山崎君は不思議そうな顔をした。しかし直ぐに彼の中の違和感は消えたのか、いつも通りの笑顔が戻る。
「それにしても、流石Aさんの作戦でしたね!」
「褒めたって何も出ないよ〜?」
なんて言って笑えば山崎君は「そういえば」と宙を眺める。
「旦那がテツを蹴り落とすタイミング、Aさんのカウントとピッタリでしたけどなんか合図でもしてたんですか?」
何気なく放たれた質問に冷や汗をかく。
……確かに言われてみればそれ不自然だよなぁ。
でも仕方ないんだよ。お互いああいう時は“慣れ”でドンピシャ息が合っちゃうんだから。
「……いや別に?まぁそこは私のナイス采配だよね」
仕方なく私はそう言って誤魔化した。
今更どうしようもないその“慣れ”に胸中で溜息を吐きながら――。
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ギラッフェ(プロフ) - AISさん» コメントありがとうございます!心臓刺激できたようでよかったです笑 これからも宜しくお願いします! (2021年3月24日 23時) (レス) id: d3f370a12a (このIDを非表示/違反報告)
AIS(プロフ) - 橘ちゃんのキャラと能力がどストライク過ぎました。(真顔ゲンドウポーズ)銀さん「ったく、もうちったぁ俺の相手しろよ……。薄情なやつだな」AIS「おっ?君ツンデレか??ならば良し」。ワタクシの心臓を刺激しましたねハイ。更新頑張ってください!応援してます! (2021年3月22日 0時) (レス) id: 2a56ff43b4 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - なまたまごさん» 尊敬だなんでとんでもないです!ただたた銀魂が好きなだけです笑 なまたまごさんもがんばって下さい! (2019年6月24日 20時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - すごく面白いです…!同じ作者として尊敬します。これからも頑張ってください!! (2019年6月24日 0時) (レス) id: b5ac9a2789 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Nightさん» 応援ありがとうございます!!ぜひぜひ楽しみにしてて下さると嬉しいです。がんばります!! (2019年6月23日 11時) (レス) id: ea51419cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年4月19日 7時