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ep224 ページ12

先刻までの様相とまるで違う雰囲気に今更後悔が滲み出す。踏み込み過ぎた。


「寧ろ殺すという思考が生まれない君の方こそ奇妙だ。何故今迄それを疑問に思わなかったんだい?」


その言葉に心当たりがあって身が凍る。


『共喰い』の一件の時、フョードルを狙った銃の照準が間際で狂った。そしてその後云われた「貴女に私は撃てない」という台詞。


「“洗脳”されているのは君の方だろう」


躯そのものまで握り潰されそうな圧力。
お前はそう程式設計(プログラミング)されているのだと、それがまるで事実のように気道を絞め上げてくる。


最早虫の息で何も云えなくなった私に



「…………おい……やめろ」

助け舟を出し、冷え切った空気を断ち切ったのは隣の彼だった。


「ヘリの中だぞ、息が詰まる」


シグマさんの言葉でさっと私の左肩から手を離したゴーゴリ。しかし鈍痛はまだ居座っていた。

肩を庇いながら私は浅く息をした。



「……確かめたいだけです」


その実、微塵も馴染ませたくない臆病と恐怖心は隠し切れていないだろうが。


「貴方……本当にフョードルを殺したいんですよね?」


無気なしの反駁を掻き集めて向けた視線は充分鋭利だったろうに


「ああ、そうとも」

ゴーゴリはさらりと去なして答えた。


「ならば大人しく従います……目的が同じである限りは」


私の言葉を最後に、機内には柄にも無く沈黙が降りる。
唯、機体の揺れに合わせてぶつかる肩が——……


「……痛むか?」


隣のシグマさんが遠慮がちに問う。
本当にこういう処……敦君にそっくりだ。


「問題ありません」

「……そうか」


きっとその実、彼が気になっているのは私の肩の痛みより“自分の記憶を消した”という過去だろう。


坂口さんを介して太宰さんから彼の出自の真相については聞いた。

『頁』によって人為的に生まれ、記憶がないが故に与えられた“家”を決死の覚悟で守ろうとした彼。


理解し得ないのだろう。
逃亡の為とはいえ好き好んで自分の記憶を消す私の所業など。


「聞きたいことが山ほどある……」

「え?」

「そういう顔をしているので。どうぞ?道中終始沈黙も退屈でしょう」


戸惑いを見せるシグマさんを眺め乍ら、出自以外は嫌味なほど本当に“普通”……という所感しか生まれなかった。


 
 

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ギラッフェ(プロフ) - うどんさん» いつも作品愛を届けてくださりありがとうございます!原作ファンの一員としてなんとか良いストーリーを!と思っています笑 来たる年もぜひ宜しくお願いします! (12月31日 0時) (レス) id: 046a0c810f (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 更新されるたびにいつもギラッフェさんにメッセージを送りたいほどギラッフェさんの作品を愛しています!!ギラッフェさんの作品はいつも作品に引き込まれるほどの素晴らしいストーリーだと思います!!原作の展開が予想できず大変だと思いますがこれからも応援しています! (12月28日 23時) (レス) id: b2d2242acf (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» 楽しんでいただけて何よりです!応援いただきありがとうございます! (12月11日 22時) (レス) id: 608d959404 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - ストーリーが繋がってきて、楽しいです!頑張ってください! (12月11日 19時) (レス) @page9 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - うどんさん» コメントありがとうございます!そう云っていただけるのが何より嬉しいです。是非是非今後ともよろしくお願いします! (11月24日 18時) (レス) id: 1ed6621db5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年11月14日 23時

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