ep213 ページ1
乱歩さんが協力者として挙げた福地桜痴という人物。福沢社長の旧友にして《猟犬》の長。
彼を人類軍の総指揮とし味方につけることで探偵社の濡れ衣を晴らす。
交渉には態々乱歩さん自身が危険を冒してまで向かうのだ。福地氏相手に不足はない。
記者会見のニュースが大々的に報じられている今となっては既に探偵社は無実だと信じているやもしれない。
私はそれを信じて疑わなかった。そう語る乱歩さんの頭脳を疑わなかった。
フョードルを記憶し取り込んだ彼は正真正銘、彼の思考をトレースすることが出来ていたから。
だから
こんなことになるとは想像してもいなかったのだ。
「ごめん、僕のミスだ」
そう言って緊急避難用の小説世界に転送されてきた彼の言葉に私は息が止まった。
「何が……あったんですか」
この小説世界は乱歩さんの避難ともう一つ目的があった。
それは福地氏が我々の提案すら聞こうとしない強硬姿勢だった場合、私の異能で“せめて話は聞く”という展開を作るため——その為に私は珍しくも作戦に組み込まれ、小説世界で待機をしていたのだ。
なのに……
「福地桜痴が『神威』だったんだ」
「……そんな……だって彼は……」
《猟犬》の長じゃあないか。
思わず口にしそうになった其れは、決して彼が『神威』であることの否定にはならないと気づき、胸の奥に重く沈んだ。
身の毛がよだつ。フョードルの悪意は牢に繋がれていながらも此処まで及ぶのか——。
「……何か、打開の方法は」
「敦が逃げ切る。それしかない」
この期に及んでも私は此処で祈るしかできない。
解っている。仮に私が小説世界から抜け出て敦君の加勢をしようにもそれは足手纏いだ。
異能を遣おうにもかの《猟犬》の長を相手に間合いまで到達できる訳もない。
こんな私でも思いつくような策を乱歩さんが思案しなかった筈はない。凡てを熟考した上で彼は敦君次第だと云ったのだ。
「……僕のミスだ」
肩を落とし繰り返した彼に私は浅く息を吸った。
「二度も聞かせないでください。私に貴方は責められません」
斬られるなら小説世界ごと。その同士を恨む気にはならなかった。
「もし——……もし、生き残れたらどうするか。対策を考えましょう」
その後
どれほどの時間が経ったのか……
小説世界から解放された私達は芥川さんの殉死を知らされた。
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ギラッフェ(プロフ) - うどんさん» いつも作品愛を届けてくださりありがとうございます！原作ファンの一員としてなんとか良いストーリーを！と思っています笑 来たる年もぜひ宜しくお願いします！ (12月31日 0時) (
レス) id: 046a0c810f (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 更新されるたびにいつもギラッフェさんにメッセージを送りたいほどギラッフェさんの作品を愛しています!!ギラッフェさんの作品はいつも作品に引き込まれるほどの素晴らしいストーリーだと思います!!原作の展開が予想できず大変だと思いますがこれからも応援しています! (12月28日 23時) (レス) id: b2d2242acf (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» 楽しんでいただけて何よりです！応援いただきありがとうございます！ (12月11日 22時) (レス) id: 608d959404 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - ストーリーが繋がってきて、楽しいです！頑張ってください！ (12月11日 19時) (レス) @page9 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - うどんさん» コメントありがとうございます！そう云っていただけるのが何より嬉しいです。是非是非今後ともよろしくお願いします！ (11月24日 18時) (レス) id: 1ed6621db5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2023年11月14日 23時
