ep446 ページ49
しかし、
「……読まれてんね」
ぐっと眼を凝らした先にはターミナルの砲撃から九曜を守るべく盾となっている敵艦の数々。
地球からの攻撃を警戒し、みっちり並べられた防壁のせいで九曜には傷一つついてない。
「あ''〜ヅラ、やっぱりこの2年間で地球をまるっとくるっとATフィールド的ななんかで包んどくべきだったって」
「……6徹目のお前と4徹目の俺で書いた、あのなんちゃって補完計画か?」
そうそう、と頷くと大真面目な顔をしたヅラが言う。
「やりたいのは山々だったが、なにせ金が無かった」
「結局金……やっぱ先に資本主義システムをぶっ壊しておくべきだったかぁ」
「……。お前らがなんで総理と参謀できてたのか、銀さんミリも分かんねぇんだけど」
「奇遇だな、俺もだ」
敵をやり過ごした路地裏で、息を整えながら愚痴を垂れ流せば銀時と晋助には散々言われる。が、手数不足で焦るには焦ってるのだ。
「てか紫雀のおっさんから連絡は!?」
「試したが応答が無い」
他国巻き込んで宇宙から同時攻撃仕掛ける作戦。敵に悟られたか間に合わなかったか……。嫌な予想ばかり浮かぶ。
ターミナルからの砲撃にも限りがあるし、今の敵の完全防備のままじゃ致命傷与えられる可能性も低い。
思わず余裕綽々の九曜を睨みつけたその時——
《上空はガラ空きぜよッ!!》
インカムをジャックしたのはヤケにデカイ声。
《よォ元気にしちょったかおまんら》
こっちの混乱なんかお構いなしに続ける通常運転ぶり。
《もう心配いらん。この空に坂本辰馬が帰って来たからの》
辰馬だ。
「まさか紫雀……」
《すまんな、教団に恨みを持つ国をけしかけ九曜を沈める算段だったがどこも動く気配もなく、それどころかおかしな奴に捕まった》
ある意味期待以上の展開に笑いが漏れた。
「謝らないでいいよ、紫雀のおっさん。そのおかしな奴連れて来てくれた時点で充分MVP」
《参謀…そのおっさん呼びそろそろやめてくれないか》
「……検討しておきます」
《それしないやつ!!》
不満そうに苦言を呈されるが、何を隠そう……
紫雀のおっさんがそれはそれは輝かしい戦歴のすごい人なのは百も承知なのだ。
でも……喜々公と野糞対決してたという事実が強烈過ぎて今更「紫雀提督」なんて呼べやしない。
「やっぱ第一印象って大事だよね……」とぽつり呟けば、ちゃんとインカムに拾われてたのか、おっさんのすすり泣きが聞こえた。
……ごめんて。
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時