ep431 ページ34
会わないうちに切り揃えたらしい髪は、真選組配属直後の出会ったばかりの頃を彷彿とさせる。
2年の月日を全く感じさせない姿にどこか新八は安堵する。
だが、たぶんこれを言えば本人は童顔コンプレックスで面白い顔をしなさそうなので口には出さないでおく。
「とにかく!長官達で修復費割り勘してくださいね!?帳簿は寄付ってことで誤魔化しておきますから!」
いいのかそれ?というようなことを言いつけるAに対し、大人しく頷く松平。
なにか上下関係が逆転しているのがいよいよ気になって
「あの……Aさんって今は何をしてるんですか?」
と聞けば——
「内閣総理大臣専属参謀」
「…………。」
またもやこの人は知らないうちにトンデモ専属参謀になっている……と知る。
そして松平がさっき言っていた“条件”が何だったのか、やっと腑に落ちた。
「桂さんが総理になる条件って——」
「そう、私が専属参謀として手綱を握ること。つまり今この国を動かしているのは私と言っても過言ではないんだよ」
むふーっと悪役ばりの笑みを浮かべて語る彼女。
かつてのバラガキぶりを思い出して、これは人選ミスでは…と松平に視線を送れば、何となく「そうなんだよぉ」とでも言ってそうな眼差しが返ってきた。
やれやれと思いながら、新八は先刻から気になっていたことを口に出してみる。
「Aさんの方には連絡とか来てますか……?その……銀さん、とかから……」
その問いで不意に、さっきまでおちゃらけていた彼女の空気が一変する。
新八は一瞬怯むが、返事を聞いてその鋭い何かは自分ではなく、銀時に向けられていることに気づく。
「全くもって音信不通。インカム持って行った癖にGPS切られてるし」
不満げに溜息を吐く彼女は「絶対わざと居場所知られないようにしてるよね、アイツら」と言う。
アイツら——……そう言われてどうやら音信不通なのは銀時だけでなく、高杉もらしいと分かる。
確かにあの戦いの後、重傷のAは2ヶ月の入院とリハビリになり、退院したとき銀時はすでに江戸を去った後だったのだ。
「お陰で朝起きたらGPSの通信が入ってないか確認するのが日課になってね……自分でもアホらしくなるけど」
眉を下げたAを見て新八は曖昧に笑い返すことしかできない。それを知ってか……
「じゃあ私ヅラ探しに行くから、またね」
Aはゆるやかに手を振って去って行った。
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時