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ep428 ページ31

地球のアルタナは定春の力で封じられつつある。虚が使えるのはあとその身の中にある残りカスだけ。


私は撃ち尽くした銃を捨てて刀を抜いた。そのまま、虚へと一歩、一歩、足早に近づく。


——その足元には仲間達の亡骸。

どうか今は赦してくれ。君達の命を、屍を踏み越えて行くことを。




仇は討つ——……必ず。





「貴方は気の遠くなるほど長い時間の中で、人間を見限り、今終わらせようとしている」


でもどうだ?

たとえ敵が不死身だろうが、眼で追えぬほどの剣客であろうが

そんなことはクソほども関係ない。




————カキィィ……ッ!


私は虚の振り翳した刀を阻み、銀時と虚の間に半身を滑り込ませて立ちはだかった。


「この星を護ると決めた自分の魂のため、死んでいった仲間のため、足掻く私達に怯えているのはお前の方だ」


奴が力尽くで私を薙ぎ払ったその瞬間——



「銀時ッ!!」



ガギィィィッ!!




死角から現れた銀時が虚を弾き飛ばす。



「……参謀は高みの見物が仕事だろ」

満身創痍の銀時が言った。


「さすがに地球滅亡を見物する趣味はないよ。死ぬなら一緒だ」



ふらりと瓦礫の中から身を起こす。軋む骨も悲鳴を上げる肉も知らない。

死んでいった仲間の痛みに比べれば——その悔しさに比べれば……痛いわけもない。




もう立てないと思ったか?


もう闘えないと思ったか?


諦めると思ったか?




「巫山戯んな。お前は毛ほども解っちゃいない。人間が自分の命をかけてでも護りたいものの価値が!!」


私はもう一度構えた刀で眼前に迫った虚の肩を貫いた。


だが同時に奴の刀も私を貫く————。




「Aッ!」


喚くな。


痛い


熱い


苦しい



でもそれでいい。




ガシャン……



私は自分の刀を手放し、腹を貫いた奴の刀を有らん限りの力で握り締めた。



「————逃げられると思うなよ……」




今更気付いて刀を抜こうたってそうはさせない。

顔を引き攣らせた虚を次々と貫く仲間の刀。


人間に憧れたあの師が始めた悪夢だ……。ならば私達、人間が終わらせるしかない。








今、ここで。




必ず終わらせる——。



 

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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時

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