ep415 ページ18
—貴女side—
ヅラとの通信が回復したのが数分前。
どこから拾ってきたのかよく分からない協力者の艦隊を連れて天鳥船に攻め入ろうとした時、
問題は起こった。
解放軍のシステムによりヅラの艦隊のステルス機能は無効化。生身のまま敵の攻撃を受け続ける船は天鳥船を前に早々と失速していた。
《このままでは天鳥船に届かない……!》
焦るヅラの声。
いや、それより自分の乗っている船の心配をしろよとも言いたくなるが……。このまま攻撃を受け続ければヅラの船は届かない云々の前に爆散だ。
まぁ焦るのも仕方はない。天鳥船内部では既に辰馬の指揮で解放軍との戦いの幕が切って落とされているのだ。
しかも戦況は多勢に無勢で劣勢一色。袋小路の回廊で絶体絶命もいいところ。
しかしそれを聞く私は一人高速艇の中で、インカムに意識をやった。
「さぁ出番なんじゃない?鬼兵隊」
《言われるまでもねぇ》
不機嫌そうな声、でもインカムは付けてくれたらしい。心の中で万斉さんに感謝した。
この劣勢を塗り替える圧倒的な一手。敵も予測していないだろう第三勢力でありながら純粋に戦いのために刃を研ぎ続けた大規模戦力。
敵本艦をブッ叩くのに不足なし。
《おいA……えらく足の遅ぇ前の船はどこのどいつだぁ?》
「まーたそんな憎まれ口叩いて……」
やれやれと首を振るがその実、愉しげな晋助の声に胸が高鳴っているのは私の方かもしれない。
「一日一善。一緒に連れてってあげて?手段は問わないから」
そう言ってインカムを押さえれば、隣にいるのだろう万斉さんの声を拾った。
《参謀が言っていたでござる。届かない、間に合わないなら初速度を上げればよいと》
おやおや、まさかその台詞を引き合いに出されるとは……。
《けっ、相変わらず最後はいつもの物理戦法か》
鼻でせせら笑う晋助に、言ってろ言ってろと舌を出す。
物理はいつだって裏切らない最終手段のジョーカーだ。実際に機械全滅の地球じゃ今やアナログを制したものが戦況を制しているわけなんだから悪く言ってもらっちゃ困る。
それに……
「悪くないでしょう?」
問いかけてみた私に、ただ鼻で笑う晋助。
ほんと、愉しそうにしてくれちゃって……。
「待ってなヅラ、ちゃんと主戦場には送り届けるから」
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時