ep408 ページ11
その後、我らが将軍の面子とプライドを生贄に、紫雀提督を筆頭とする解放軍との一時停戦を交わした。
「ハッタリと誤解が活路を開くこともあるんだねぇ」
停戦に漕ぎ着けた事実に浮き足立つ周囲の空気に笑いながらそう言うものの、何処か心には隙間風が吹き荒ぶ。
横目に見た晋助の表情も決して満足も安堵もしていなかった。
そう、これで終わる訳はないからだ。こんなことであの人が止まるわけがない。
きっとこちらの取り決めた停戦なんか、虚にとっては吹けば飛ぶ埃のようなもの。
次の一手で確実に地球を潰しに来る。
ということは今が綿密な作戦を立てることのできる唯一の残された時間かもしれないということだ。
きっと虚本人が動き始めたら、ゆっくり作戦を考える暇なんて与えてくれない。
私は賑やかになりだしたその場を去り、自室に籠るや否や地球にいる“協力者達”の情報を掻き集める。
それぞれの部隊の現在地、江戸までの所要時間、動員人数、所有兵器の火力——。
全ての情報を頭に叩き込んで最終決戦の構図を描き出す。
綿密に、鮮明に、詳細に——
停戦を覆して地球を塵にしたいのならどうする……?
簡単だ。地球人か解放軍どちらかに停戦協定を破らせればいい。
そしてもし私が虚なら、地球人を装って駐屯中の解放軍を攻め、地球側に協定反故の濡れ衣を着せる。
ならばどこに駐屯する解放軍を攻める?攻め手は?奇襲をかける人員は?規模は?その次はどこを狙う?
浮かんでは消えていく数多の可能性を書き留めるためにペンを走らせ、紙に落とし込んでいく。
次……
次————……
そうしてどれくらいの時間が経ったのか、
ふと人の気配に顔を上げた時、部屋の入り口に立つ万斉さんがいた。
「すまぬ、気を散らせるつもりはなかった」
「大丈夫です。ちょうど終わりました」
そう言って部屋を見渡せば、いつのまにか周囲には十数枚の紙が雑多に散らかっていた。
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時