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ep399 ページ2

—no side—


ハッキング開始から早7分経過

指先の動きは積んできた経験を物語り、視線は手元に注ぐ必要もないとばかりに液晶に浮かぶ文字記号の羅列を追う。


先程まで自分に何かと言い聞かせて強心臓を装っていた彼女を見て、人間らしいところもあるのだと安堵していたのに。
すっかり違う雰囲気に万斉は胸中で首を傾げていた。



その目下でパソコンにUSBを挿して手を止めたAは顔を上げずに問う。


「何分経ちました?」

「7分13秒でござる」

「やっば、データのコピー間に合うか?」


あと残るはコピーだけらしいと分かり、万斉はAの抱える液晶を覗き込んだ。普段見慣れたパソコンの画面とは何もかも違うそれに面食らっていれば、彼女はゆっくりと液晶を指さす。


「これが敵がここを探知するまでの残り時間、こっちがコピーが終わるまでの残り時間です」

その時間差は僅か10秒やそこら。
その短時間でパソコンをダストシュートに投げ入れ、それが上手く宇宙に放出してから爆発してくれるものだろうか。


「手榴弾は作動から爆発まで大体5、6秒ですから丁度ですね」


いつの間にか本物の強心臓発言をするAは


「ここまでやったからにはまるっと盗んでやりますよぉ」


嬉々として早々、手榴弾をパソコンの背面にテープで固定し始めた。
コピーの途中では駄目なのかと、喉元まで出かかっていた疑問を万斉は飲み込む。


その間にも時間は刻一刻と過ぎ、気づけば残り20秒弱。


「15秒からカウントください」


再びスイッチを切り替えたAは液晶のコピーを待つ。


15…

14…

13…

12…

11…


10……


9……


10を切って冷汗が滲んだその時、


「おっけ!」

8のカウントと共に彼女がUSBを抜き去り、流れるように手榴弾のピンを外しレバーを作動させた。


「時間足りないなら落下初速度を上げるのみ!」


華奢な肩に反し、それらをダストシュートに力一杯叩き落とす。



「万斉さんスイッチ!」




ガコンッ——……!





階下で音がしてダストシュートが開放される。



2……1……





ドォンッ——!!






予想よりも近くで感じた爆発の衝撃に思わず2人で顔を見合わせる。


そこへ


ジジッ…



艦内放送が作動し、《……橘さん》と絶対零度を思わせる武市の声が響いた。



《……申し開きはありますか》

「アリマセン」

《今すぐ会議室に戻って来てください》

「カシコマリマシタ」




 

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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時

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