ep398 ページ1
「万斉さん、この船のダストシュートまで案内してもらってもいいですか?」
借りたパソコンを抱えて、ダストシュートへ向かう彼の後に続く。
その後頭部には「ダストシュート……?」とはてなマークが浮かんでいるのが見て取れた。
「あ、それと手榴弾とガムテープください」
そう言えば前を行く彼は足を止めて振り返る。
「……本当にハッキングするだけでござるよな?」
ハッキングに何故ダストシュートや手榴弾が必要なのか……
いつもは分からないサングラスの奥が動揺でグラグラ揺れてる様子に思わず笑いが漏れた。
「ホントですよ。ただ保険のためにパソコンをすぐ宇宙に放り出して塵にできる場所にいたいだけです」
そういえば私の意図が分かったらしい彼は目を見開き、少し黙り込む。
「深追いはしません。鬼兵隊の船を塵にはしたくありませんから」
選りすぐり、百戦錬磨の解放軍の盟主達がまさか本艦の情報を易々と盗みとれるようなセキュリティーを構えてる訳はない。
ハッキングできるかは正直シビアだし、出来たところでこちらの居場所が特定されて襲撃されるリスクがある。
撹乱するにしても時間の猶予は7、8分が関の山。
でも……
「許してくださいね。参謀ってのは前線に立つ仲間のためなら、そのリスクを冒さずにはいられない生き物なんですよ」
ダストシュートの前に陣取り、最終確認をする。
「ハッキングの成功失敗に関係なく、開始8分後にパソコンが宇宙で塵になっていれば良いのでこざるな?」
「その通りです。私が手榴弾をパソコンに固定してダストシュートへ投げ捨てるので、万斉さんはダストシュートの放出スイッチを押してください」
そうすればダストシュートに落ちたパソコンはそこに溜まったゴミ諸共宇宙に放り出され、その先で爆発。
「見事、我々の居場所は敵に漏れない!……といいなぁ〜という作戦です」
「……願望強めの作戦でござるな」
ぇええい、ままよ!
ダストシュートの放出が遅れたらこの船の一角を爆破することになるけど……
「威力はたかが手榴弾一つ!」
座標がバレたらかなり面倒だけど……
「この場から全速力で逃げればいいだけのこと!」
自分に言い聞かせるために声をあげれば、隣にいた万斉さんは珍しいモノでも見るように何故か微笑を湛えていた。
「さて、強心臓でいきましょう」
人知れず震え出した自分の指先に気づかないふりをして頰を叩いた。
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Hi(プロフ) - ぜひ!末永くお待ちしております(*^^*) (2月18日 2時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Hiさん» コメントありがとうございます!わかります、私も原作で涙しました笑 明言はできませんが決して救いも希望もない結末にはしないので完結まで楽しみにしていてくださると嬉しいです (2月17日 21時) (レス) id: 2081f8c6f1 (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - コメント失礼致します!大変面白く中身もきっちりと構成されていて感動しながら読んでいます(*^^*) 野暮ですが、希望としては高杉晋助が死なない方向がいいなぁと思っています、打たれ弱いので笑笑 (2月17日 15時) (レス) id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - りんごジュースさん» コメントありがとうございます!キュンキュンしていただけましたか!とっても嬉しいです(^^) 今後ともよろしくお願いします! (1月31日 0時) (レス) id: 4ad20a9210 (このIDを非表示/違反報告)
りんごジュース - コメント失礼します!主様の作品どれも素敵で一気に読んでしまいました笑笑どのお話もキュンキュンしてました!!これからも陰ながら応援しています! (1月30日 22時) (レス) @page50 id: 81b633d03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2023年9月10日 22時