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ep9 ページ11

―no side―


「解散だ」


Aの後に続き、土方は吐き捨てるように言って部屋を出た。それを追うように近藤も広間を出る。


「トシ、すまん」

「謝んなよ近藤さん。アンタの決めたことだ、異論はねぇよ」


広間から離れた廊下で2人は立ち止まった。


「そうは言ってもあの参謀、一体何モンだ?どこの馬の骨かも知れやしねぇ」


胡散臭く感じる土方に近藤は眉尻を下げて語り出した。


「実は、とっつぁんからの推挙でなぁ……」

すなわち松平片栗虎――警察庁長官からの推挙。


「宇宙じゃかなり名の知れた参謀らしい。たった3つの条件さえ飲めば契約は成立。腕も確かだ」

「何だその3つの条件ってやつは」


土方が尋ねると、近藤は懐から1枚の紙を取り出して見せた。


――契約書――


一、貴君達のルールを強要しないこと

二、私の過去を詮索しないこと

三、二度と私を雇わないこと


――以上――


土方はいささか不審に思った。
1つ目と2つ目の条件は理解できる。至ってありそうな話だ。
しかし3つ目の条件が何を意味するのか分からない。


「近藤さん、この最後の条件どういう意味だ?」


ふと紙面から視線を上げれば背後からぬっ、とAが現れる。


「同じ依頼主には二度と仕えないってことですよ」

「うおっ!!…………テメェいつから――」


土方の険しい視線を躱して「そんなことどうでもいいじゃないですか」と笑う。


「それより、3つ目の条件が何を意味しているのか気になるんでしょ?教えてあげましょう。

それはつまり、私の雇い時を熟考せよってことです」


Aは重たそうなキャリーケースを引き寄せながら続けた。


「私は二度と同じ依頼主からは依頼を受けません。私を雇えるのはただの一度きり。それは本当に今でいいんですか?って話ですよ」

「随分と自分を買ってるみてぇだなぁ?」


土方はふっと鼻で笑うが



「いいえ。これは私自身への戒めです」


Aの冷え切った声に思わず真顔に戻った。


「または、ある連中と二度と一緒に戦わなくて済むように作った口実」


暗い瞳で遠くを見詰めるA。


2人はその戒めとやらが“過去を詮索するな”という条件と何かしら関係がありそうなことを悟った。




「ま、松平さんも近藤さんも私の雇い時は今だと判断したわけですし。問題は無いでしょ?」


いつのまにかすっかり笑顔に戻っているA。土方は気に食わなそうに舌打ちをした。




 

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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時

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