地獄のプリンスは今日も死にたがり (ページ44)

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42話ページ44

ルシファーside

チャーリーをAの部屋へ送り込んで、数分後
とてつもない揺れが襲った

「な、何だｯ…！チャーリー！！」

揺れのせいで上手く足が行きたい方へ動かない中、必死で歪んで開かなくなった扉を押す

「クソｯ、すまんチャーリー！弁償する、許してくれ！」

魔法で扉を粉々にし、先を急いだ
「(頼む、無事でいてくれ…2人とも)」

本当は分かっていたんだ

あの子の中の魔獣が持つ魔力が増した事も、解放が近い事も
だけど、どうしてあげることも出来なかった

走りながら後悔だけが募る

「私は本当のあの子に、寄り添えて居ただろうか…
いや、約束ばかりで縛ってしまった…、！」

良かれと思ってAを、天国へ連れてった
きっとその方がAにとって、幸せになれるだろうと考えて

…数年後、会いに行ってみればどうだ

「…どうしたんだ、ｯ…A」

以前の明るい息子からは、かけ離れた姿
暗く俯き、何かに怯えるような目で辺りを警戒していた

「A…！」

『…ひｯ、、！』

腕を掴んだだけで、震え上がるA
数年と言えど、私達にとっては短い期間。そのたった数年で、一体何があったと言うんだ

「私の息子に何をしたんだｯ…！！」

「我々は、彼の望みを叶えてあげられる力を与えた迄
久しぶりに会うんだ。誰だって少しくらい変わる」

「何が、変わるだ…これは異常だ…、」

私が近づくだけで、恐怖に囚われたような表情で後ずさるA。少し変わるで済まされる話では無い

「心配なら、息子を連れ帰るといい。その方が彼の望みも叶いやすいだろう」

「言われなくともそのつもりだ…！、」

やはりここは生きにくい…息が詰まりそうだ

「よく聞け…傲慢な上級天使共
いつかお前達には、私の怒りを返してやる

許されることの無い地獄を味あわせてやる…！」

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地獄へ帰ってからは大変だった

『やだやだやだぁｯ…！ごめ、なさいｯ……！、』

「Aｯ、違うんだ…！話を聞いてくれ、」

何を言うも怯えて、話にならない
今でこそ普通に話せては居るが、何百年かかったか

『ぃやだｯ…！やめて、見ないで…！』

「この腹に刻まれた契約印は何だ、」

嫌がる息子を押さえ付け、その印に触れた
息子の魂とは別の魂がそこにはあった…。どうにかしたかった

研究に研究を重ね、約束で縛る事にした

お陰でこの歳まで安静に過ごせて来た

…だが、それも限界が来たようだ