地獄のプリンスは今日も死にたがり (ページ39)

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37話ページ39

『…』

「おやおや、これは酷いですね。ﾌﾌ、どうされました？」

ベッドのサイドレールに凭れ、目だけ声のする方に向けると予想通りの赤い彼

いつもタイミングの悪い時のみ現れる

何処かそう言うアンテナでもついてるのかと、不思議に思う

「そんな大量に薬を含んで大丈夫ですか？チャーリーに叱られますよ」

薬……？

ふと手を見ると、片手には空になった瓶。もう片方の手には、大量の錠剤が握られていた

「…どうやら、先程より一段と魔力が強まりましたね。気づいてます？貴方から醸し出される、その妙な魔力

全く、こちら側の身にもなって頂きたいものですね♪」

『…近寄るな悪魔。僕に指一本でも触れてみろ…喰ってやる』

「にゃハハｯ！！
初めて会った時とは大違い！まるで、二重人格！！

でなければ

何かに"乗っ取られている"みたいだ」

首を傾げ、僕を警戒するアラスター。流石、上級悪魔と言うべきか。…何でもお見通しのようだ

「ですから、あの時嫌でも私と契約をしていれば、良かったんです」

『ｸふｯ…、ははハｯ……ヤダね。コレは僕の問題だ
僕一人で解決する』

「HAｯ、今の弱弱な貴方に解決出来る問題でしょうかねぇ！」

馬鹿にした言い方。鼻につかないわけがない

『前回もだけど、僕を揶揄いに来てるだけなのなら、頼むよ消えてくれ。でないと今にも手が出そうだ』

「私が貴女如きに倒されたりしませんよ。私は忠告しに来てるのです、貪欲は必ず身を食うってね

そんな厄介なものを放つ前に、釘を打ってるんですよ♪」

『ﾊﾊﾊｯ…怖いの？』

「いえ、全く！自ら破滅へと向かう馬鹿を見るのが、好きなんですよ」ｼﾞｼﾞｯ

…どこまでいっても悪魔は悪魔。罪人は罪人

更生したいなんて本人がその気にならなければ、まず無理

『ﾊｧ〜…、チャーリーも馬鹿だなぁ、、そうでしょ？』

留めていた魔力を一気に解放し、アラスターに圧力をかける
膨大な魔力によって、部屋の物が揺れ軋む

アラスターの鼻から、たらたらと鼻血が流れ落ちる

「ｯ…、」

『僕が最も嫌いな事を教えてあげる。干渉される事、土足で踏み込まれる事

そして、姉を騙して近づく愚か者だ』

「ｯ、…！HAHA、なんて人聞きの悪い。でもそうですね…、今日は一旦離れるとしましょう

汚濁のような魔力に呑まれるのは、御免ですからね」

と、溶け込むように消えていった

そっと視線を手に落とし、手から溢れる薬を喉へ押し込んだ

『(……足りない)』