33話 ページ35
エンジェルside
『僕、久々だよ。街中を歩くの』
「俺はこの道、出勤ルートだから良く知ってるぜ」
俺にとってはただの道。仕事へ行く為のつまらなくて、嫌になるような道
Aにとっては違う様だ。気づいてないだろうが、いつもより目がキラキラしてる
ただ道を歩いてるだけなのに、
「HAっ、Aは純粋だな！チャーリーが心配するのも分かるよ」
『どういう事だよ…』
「まーた、険しい顔する。折角の可愛い顔が台無しだよ、ダーリン♡」
そんな会話もできるくらい仲良くなったんだと思えば、凄く嬉しくて胸の辺りが暖かい気がした
もっと仲良くなりたい
『職場は？近いの？』
「その角を曲がればすぐだ。先にAの用事を済まそう
まだ時間もあるしさ。林檎、買うんだろ？」
『…ありがとう、着いてきてくれて』
！
「嗚呼！」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「そんだけで良いのか？」
『沢山あっても傷んじゃうし、3つあれば十分だよ』
紙袋に入った林檎を大事そうに抱えるAが、より幼く見え可愛らしいと感じてしまう
「(何か、Aの兄になった気分だ…)」
『其の儘、仕事に行くの？』
「そのつもりだけど、怖いんならホテルまで送ってくぜ？笑」
『怖くないし』
さっき迄、目を見て話してくれていたのに、揶揄うとすぐ目をそらす所もまた可愛いと思ってしまう
「全く、Aは素直じゃないなあ♡
……何？誰だよアンタら」
道中、俺達の前に塞がる4人組。
黒いスーツを着て、如何にも柄の悪そうな悪魔達
職場も近いし、今日の俺の仕事相手だと思うと納得がいった
「もしかして、ヴァルのお使いか？悪いな、この子を送り届けたらすぐ行くからって伝えてくれ」
Aの肩に手を回し、俺より背の低いAをそっと後ろに隠す。こんなヤツらに見せたくない
「いいや、用があんのはお前じゃなくてそっちのチビの方だ」
「悪いが着いてきて貰うぜ、僕？」
『え、やだよ。僕帰ってパイを作るんだし
行こう。エンジェル、彼等になんて構わなくていい』
スっと手を繋ぎ、俺を引っ張ってくA
「(それ、反則でしょ♡)」
振り返り、奴らに向かって中指を立てる。悔しそうにする奴らを後ろにAに話しかけようとした時だ
ﾊﾟﾝｯと渇いた音が聞こえた数秒後、前を歩くAが力無く地面へと倒れてしまい、寸前で受け止め支える
「Aｯ…！お前らァｯ！！」
「さて、一緒に来てもらおうか。」
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作者名：夛湖 (たこ) | 作成日時：2024年2月20日 2時
