31話 ページ33
「あの日以来、貴方の"中の"魔力が強まってます。どうするんです？その様子じゃ解放の日も近いでしょう」
自分の爪を弄り、興味無さげに話すアラスター。でも目だけはしっかり此方を見ている
『どうするも何も、そのままさ。何もしない』
「私ならどうにかする事も出来るかもですが…、どうします？契約します？」
『僕がすると思う？』
「HAHAｯ、いいえ！…でも、本当に良いんですか？」
それでも尚、執拗く聞いてくる彼を軽く睨む
「…貴方は契約を拒みますが、ソレは契約によるモノでしょう？契約嫌いの貴方が、一体どなたと契約を？」
『言って何の得があるの？そういう貴方こそどうなの？
僕が見る限り、縛られているのは貴方のように見えるけど』
ｼﾞｼﾞｯ
ラジオのノイズが聞こえた刹那
『ｯ…、何の真似？』
僕の首に手を伸ばし、悪魔の表情で詰め寄るアラスター
「次に同じ事を口にしたら、タダではすみませんよ」
そう言うと雑に手を首から離し、パッといつもの明るい表情に戻る
『…病みあがりになんてことするんだ、』
「の割には、随分元気そうですよ。では、また後ほど…」
ズズっと影に熔け消えて行った彼
(結局なんだったんだ…彼なりの心配と受け取っていいのか)
そんな事を思い、天井を見上げては静かに過ごす
『(…魔力が強まった、…か)』
目線を落とし、平らな自分の腹を服の上から擦る
確かに実際そうなんだ
自分の身体の事。言われなくとも、僕が一番よくわかってる
『父さんに相談しないと』
天国へ行って以来、強く違和感を感じる。まるで、火山の噴火前のようで落ち着かない
(…そうだ、パイでも作ろう)
何かに没頭すれば、忘れられると考えキッチンへ向かった
自慢じゃないけど、お菓子作りは得意分野なんだ
『あれ…、林檎がないや。どうしよ』
もう口の中の気分は、アップルパイに仕上がってる。でも1番大切な林檎がないとなれば、…買いに行くしか無くなる
引きこもりには辛い試練だ
『うーん、やだなぁ…外に出たくない。…でも、アップルパイは作りたいし……でもなぁ、』
、
、
、買いに…行く……？
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『チャーリー』
「A！もう動いて大丈夫なの？」
一階へ降りると、ちょうど皆の更生レッスン中だった
『うん、バギーいる？』
「私？何」
『僕が留守の間、チャーリーの事お願い』
「あれ私、一応お姉ちゃんなのよね…？そうよね？(((」
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作者名：夛湖 (たこ) | 作成日時：2024年2月20日 2時
