地獄のプリンスは今日も死にたがり (ページ28)

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26話ページ28

今の状況的に、五分五分と言った所だろうか

結界が破られて一時焦りが見られたものの、アラスターがアダムを引き付けてくれているお陰で持ち直せた

『…キリが無いね。
本当を言えば、部屋に籠って平和に眠りたいのに』

使い慣れた魔鎌を振り回し、チャーリーに襲いかかる天使達を痛めつける

鎌を振りかざそうと、構えた時だ

「ま、待ってくれ…！俺だよ、A…！！昔一緒に天国で話した仲じゃねぇかッ」

『…誰』

「ひ、ひでぇなァ…！ほら俺だって」

『つまんない命乞いだね』

この天使の狙いは読めてる。意識が向かない背後を狙い打つ、あまりに見え透いた作戦だ

『そもそも、僕をこんなにした仲間の君を殺さないと思うの？残念だけど僕は、姉みたく優しくはないんだ』ｻﾞｼｭｯ…！

金色の血が顔を汚した。不愉快極まりない
彼らとよく似た色の血が、自分にも流れているなんて

その時、上空からの攻撃に身をかがめた。見るとアダムが光を激しく打ち放っていた

『(…あれ？彼はどうしたんだ)』

アラスターが戦闘不能になってしまえば、このチームでの勝利は難しくなる。…まずいね

皆、アダムの激しい攻撃に反撃できなくなる。どうしたものか

「王子！この状況はとても不味いのです！どうか避難を…！」

『チャーリーを置いて逃げるなんて選択肢、僕には無いよ。君こそ部下の卵達を連れて、避難した方が良いんじゃないの？』

「それはそうですが…。、王子、貴方に1つお聞きしたいことがあるのです」

この状況で何を話すのかと思ったけど、静かに頷き話を聞いた

「もし…２度と会えなくなると分かっているとしたら、好きな相手に告白するべきでしょうか」

『…良いと思うよ。後悔はしないよきっと』

「そうですか、！…そうですよね！！やはり、貴方に聞いて良かったです。自信が持てました！」

そう言うと、急いでチェリーボムの所へ向かって行ったサーペンシス。好きな相手とは彼女の事だったか

その数分後、彼が造った飛行船のような機械が動き出した

皆、少しの期待と大きな不安の表情で空を見上げるが

それは一瞬だった

パワーを貯めている最中、アダムにより塵一つ残さず一瞬で全てを消されてしまった

それを見た時、嫌な汗が流れ唾を飲んだ

怒り、悲憤する姉を止める術を僕は知らないからだ

「ラズルｯ！ダズルｯ…！！」

『ｯ、チャーリー待っ』

言い終わる前に、ラズルとダズルに乗って飛び立ってしまった

止めないと