地獄のプリンスは今日も死にたがり (ページ27)

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25話ページ27

チャーリーside

「わあ！懐かしい…！Aのクッキーだわ！」

朝、目が覚めてラウンジへ降りてくると見つけた、袋詰めされたクッキー。丁寧に名前まで書いてある

周りを見れば皆、嬉しそうに喜んでいる

「私の分もあった」

「Aがクッキーを作るなんて何年ぶりかしら…」

昔を思い出すかのように、クッキーを見つめていると思った。やはり、誰かに何かを貰えると誰であれ嬉しいのだ

それが悪人、悪党、悪魔であってもそれは一緒

「マジ！？俺の分まである！！これ、誰が作ったんだ？チャーリー？」

「Aよ、エンジェル」

「俺、誰かから何かを貰うなんて事はあまり無かったから凄く嬉しい。ましてや手作りなんて、もっと最高だ」

クッキーを大切そうに見つめるエンジェル。彼は本当に変わったと思う

だからこそ、希望は捨てられない

「よし！Aからクッキーも貰えたし、皆で力を合わせて天使達を迎え撃つわよ…！！」

私がそう言えば、四方八方から上がる喊声。それは、愈々戦争だという事を知らせた

地獄の皆は私の家族。誰1人として失いたくはない

それぞれの思いを抱いて、武器を持ち鎧を着た

「皆、準備は良い？」

振り返れば、力強く頷く皆。この思いを皆の思いを、無駄にはしたくないとトライデントを握り締めた

空を見上げると天国への扉が開かれまるで、蜂の巣をつついたかのように続々とエクソシスト達で溢れ出した

凄まじ過ぎる数に怖気付来そうになるも、仲間のことを思えば不思議と勇気が湧いた

『手、震えてるよ。怖いの？チャーリー』

「えぇっ！？そ、そんな事ないわよ」

『大丈夫だよチャーリー。この戦いきっと勝てる
エクスターミネーション始まって以来の初勝利だよ』

震える私の手を優しく包み込んでくれるA
余裕のあるその表情に、少し不安になった

「A、死なないよね…」

『死なないよ』

そう言われても何故か安心できなかった。それは多分背後に、沢山の命を背負っているせいでもあるんだと思う

周りを見れば、アラスターが結界を張って天使達を抑えてくれていた

これなら、近接戦にならずに済むと胸を撫で下ろした

『アダムが来れば、この結界も破られるよ』

「、でも今は私たちが押してるわよ！ほら！」

結界に指を指した時だ、アダムにより結界がボロボロと消えてしまった

これを機に次々と天使達が乗り込んで来る

「そんな…！」

ｻﾞｼｭｯ!

『油断は禁物だね』