地獄のプリンスは今日も死にたがり (ページ16)

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15話ページ16

『…ふぁ、……眠』

重い身体を起こすと、パキパキと骨が鳴る。流石は父さんの薬
眠りの質がここまで違うとは

ほっといたらずっと眠れるだろう

鏡で自分の姿を見れば、それはそれは酷い
髪は寝癖で跳ね散らかし、寝巻きも着崩れていてダラしない

『ﾊﾊ…、偶にはシャキっとしないと』

よく眠れてダルさを感じないからか、いつもより身支度が早く済んだ。いつもこうだったら良いのに

久々に羽の手入れもしようと、そっと羽を出してみる
案の定、抜け落ちたりして綺麗とは思い難い

羽根専用のブラシで丁寧にブラッシングする。これが思ったりより大変なんだ

「大変そうですね、手伝いましょうか？」ｼﾞｼﾞｯ

・

『ｯわ…！びっくりした…い、いつの間に…、』

「にゃは！ついさっきからですよ。Aは悪魔では無いんですねぇ、父譲りですか？」

抜けた僕の羽をクルクルと手で遊びながら、聞いてくる赤色の悪魔

『さ、さぁ…、どうだろう。多分、そうなんじゃないかな
…よくわかんないや』

「悪魔に天使の羽はありません」

『なら…天使、なのかも』

回りくどくて、何を聞きたいのか読み取れない
一体何を聞きたいのか

「それなら、貴方は何故ここにいるんです？この地獄に」

『、それは…チャーリーも居るし、父さんもいるから』

「それだけですか？本当に？」

『…悪いんだけど、貴方が何を聞きたいのか僕には分からない。言う通り、僕は天使でもなければ、悪魔でもない半端者だよ』

焦れったい…。この上から見下ろされて試されている感じ
大嫌いだ

「いやいや！君をそんな風に見てはいないさ！ただ、君自身はどっちだと思ってるのか気になってね！

気を悪くさせたなら、すまないねぇ！」

『…気にしないよ、それより不法侵入だ。僕の許可なく部屋に入らないで』

「おや、それは王子としての命令ですか？」

『悪魔はすぐ唆す…。
耳を貸すなと父さんから強く言われてる

チャーリーに手を出したら、こんな僕だけど容赦しないよ』

「HAHAHA、思っていたよりお強いようだ
何もしませんよ。…今はね

チャーリーにお願いされたんです、貴方を呼んで欲しいと」

『……すぐ行く』

疑いの目を向けながら、そう返事をし背を向けた時だ
ボワッと影から移動し僕の肩に手を置き、耳元で囁かれた

「君の中の者をどうにかしたいと思った時、いつでも頼ってください？私は喜んでお力になりますよA」

『…ｯ、』

勢い良く振り向いたが、もう誰もいなかった