伍拾玖 ページ19
トントン、と肩を叩かれてぼんやりした意識が戻ってきた。
見ると、既に藤の家紋の家の門前に着いていた。
辺りはもう黄昏時、橙の光に包まれている。
「それでは、失礼します」
「あ、ありがとうございました!」
隠の人は丁寧にぺこりとお辞儀をしたあと、どこかへ行ってしまった。
「やっと休めるのか…なんか1日が長く感じたなぁ…早く入れてもらおう」
家の門を軽く叩くと、例に漏れずやはりあのおばあさんが、キィ、と門を開けた。
「こんばんは、ただいま帰りました」
「おかえりなさいませ、鬼狩り様」
「!」
おばあさんの僕の呼び方が、「お連れ様」から「鬼狩り様」に変わってる…情報が早くないか?
屋敷に入れてもらい、火鉢の灯った暖かい部屋に通された。
「どうぞ、お着物を」
火鉢の傍に置かれた着物に着替えると、今日着ていた土まみれの着物を手渡すよう促される。
どうやら今日一日で汚れた着物を洗ってくれるようだ。
「他の鬼狩りの皆様もそろそろ夕餉になりますが、いかがいたしますか」
「あ、一緒に食べます」
「かしこまりました。では、準備ができましたら御三方の部屋までいらしてくださいませ」
「はい、ありがとうございます」
失礼します、と言っておばあさんは廊下に出ていった。
少し温まったあと火鉢の火を消し、ふぁ、と1つ欠伸をした後、3人のいる部屋へと足を進めた。
「3人とも喜んでくれるだろうか。
きっと喜んでくれるだろうな、あぁでも僕の監視役に任されてめんどくさいと思っているかも…いや、3人に限ってそれはないか、優しいしな」
3人の部屋の前に近づくにつれ、何やら騒がしい声が聞こえてきた。
このうるさいのは目星がつく。
多方、善逸だろう。
「ただいま、帰ってき────」
「うわぁぁぁぁあ、帰ってきたよぉ!!!おかえりA!!!!」
襖を開けると同時に、突き飛ばす勢いで体に飛び込んできた善逸。
突然の大声と衝撃に、息が止まったかと思った。
殺す気か…善逸はおかえり、おかえり、と繰り返し言いながら抱きついたまま離れない。
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ぴえんはけつの穴 - 嘘だろなんでハートついてないんだ…!こんな神作つけないほうがおかしい…設定も文もキャラの関係性も何もかもが面白いです…!! (10月30日 15時) (レス) @page25 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 黒豆粉さん» コメントありがとうございます!素敵な作品と言っていただけて、本当に嬉しいです!これからも更新頑張っていきますので、よろしくお願いします! (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品!!!!すっごく好きです!!とっても面白くて続きが気になります!!!更新頑張ってくださいね!!!待ってます!!! (2019年11月18日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷斗さん» 大変失礼しました、すぐに直します!教えて下さりありがとうございます!! (2019年11月10日 12時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗(プロフ) - 度々すみません、!柒拾参の6行目ですが、1時間時間になってます、! (2019年11月10日 11時) (レス) id: 3d539c4143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月25日 23時