壊れた星の輝きを【鬼滅の刃】【時透無一郎】

肆拾弐 ページ46

宇隨「おいA、時透に何した？」




私は声が震えていることを悟られないよう

頬が濡れていることが悟られないよう

平然を装った



『何って、血鬼術をかけただけだよ』



胡蝶「一体どのような？」



『記憶を消す血鬼術



…………私と過ごした思い出だけが消える血鬼術』



蜜璃「でも、それじゃあAちゃんの想いはっ！！」




蜜璃も私の恋心を知っている



宇隨「今からでも遅くねぇなら、さっさと戻せ


Aが後悔することになるぞ」



『もう決めたことだから

大丈夫、この血鬼術は解けるよ


私が死んだ時に、ね』





甘露寺「そんなの、残酷すぎるわっ！！」




…蜜璃の声は気味の悪いくらい響いた

伊黒も納得がいっていないようだ




『無一郎は、明日の午の刻には起きると思う

みんなは明日の日が昇る前に返す


だから、今日は私達ももう寝よう


私は準備するものがある、からさ』








「……一緒に寝る？」

堕姫姉、気持ちは嬉しい

だけど



『ううん、今日は一人で寝るよ、おやすみ』



私は無一郎を天元に預けて部屋に戻った





・・・

部屋について、私が準備したいもの

他の柱へのメッセージと御館様への柱及び鬼殺隊の辞表だ



正直柱のみんなは読んでくれるか分からないけれど

それでもいいと思い、文を書き綴った




包みには宝石も一緒に入れて置いた









……読んでくれますように




御館様にはできるだけ丁寧な言葉で現在の状況と辞職の意を示した


御館様は父が亡くなって身寄りのない私を保護してくれた

私にとって、第二の父だった



これをみんなに届けてもらおう


私は、いかない

もう少し落ち着いたら御館様にだけ会いに行こうかな…？


うん、それで皆の様子を聞こう



私は書いたもの全てを風呂敷に包んで、眠りについた



・・・




『寂しくなるね



頑張れ、応援してる』






私は最後にみんなと抱擁を交わした

天元以外目が真っ赤だ

だが、天元も元気がない




『もう…


ちゃんと見てるって言ったでしょう？





これも持って行って、辞表と他の柱への最後の文だから』



天元「責任もって、派手に最後まで届けてやる」



『伊黒、無一郎を頼んだよ』



伊黒「あぁ」



私は美しい顔で寝ている無一郎を撫で

そっと頬に口付けた







『無一郎、大好きだよ』



そう呟いて私はみんなを向きなおった







『みんな！ 元気でね！』

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