壊れた星の輝きを【鬼滅の刃】【時透無一郎】

参拾陸 ページ40

『しのぶ、しのぶは鬼の首が斬れない、それでもこれまで頑張ってきた
しのぶの努力はみんなを助けてるんだよ

カナエさんが亡くなっても、しのぶは蝶屋敷を引き継いできた。
それは簡単なことじゃない』


私はできるだけしのぶが心にためていることをわざと言った
……まぁ、フォローはするけどね、さすがに



私が渡した ちゃろあいと っていう石には一定時間恐怖心を強くする効果があるらしい
不安が大きくなるけど、現実と向かい合う強さが手に入るらしい、商人が言ってただけだけど



だけど、試してみようって思った
今、カナエさんのことを克服して、しのぶがしのぶらしく生きれる道を示してあげたかったから


「私には上背が足りません。鬼を斬るにも、力が足りない
Aさんのように、姉さんのように、私も力が欲しかった

こんな私では、誰も守れないっ！！

加えて姉さんも守れなかった、Aさんも……っ

私の手はこんなにも小さいｯ、守りたいと思っても、全てこぼれ落ちてしまう…ｯ！！！」


『うん。でも、その中にあなたが守ってきた命があることも忘れちゃダメだよ
どんなに小さい手でも、この手に、しのぶに助けられた人は大勢いるんだから』



……これは石の効果だと信じていいのかな？
でも、これを乗り越えられればっ！！



「私は、Aさんのようになりたい。羨ましいです、とても」


『私だって、しのぶみたいな知識があればどれほど良かったか』

「貴方は鬼の首が斬れる」


『しのぶだって怪我した人間を生かすことが出来る術を知ってる
私が鬼を滅するのなら、しのぶは人を生かせるんだよ』


……私の想いが少しでも伝わればいい


『確かにみんな、カナエさんが大好きだった
でもね、しのぶまでカナエさんにならなくていいの

しのぶはしのぶなんだから。ちょっと気が強いしのぶも、ものをはっきり言うしのぶも、私は大好きだったけどなぁ』


「………もう、Aさんって人は……。
私をあげるのがお上手ですね

そうですね。私らしく、変われるでしょうか」


『できるよ……大丈夫…。しのぶならできるっ！！』


私はしのぶの手を握った
しのぶの目には涙が浮かんでいて……





『もう、泣かないでよ。私、困っちゃうｯ！』

「少しくらい困ったってAさんなら大丈夫でしょう？」


『言うようになったねぇ……、もちろんだけどさっ！！』

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