壊れた星の輝きを【鬼滅の刃】【時透無一郎】

拾弐 ページ15

「……あたりめぇだろぉ」



妓夫太郎が私の頭を撫でる



鬼の手も、こんなに温かいんだなぁ






バンッ！！






急に扉が開いた


目を向けると、そこには服を沢山持った堕姫がいた





「当たり前じゃない！！ Aはもう私の妹だしっ！！」



……妹




「じゃあ、俺はAの兄ちゃんだなぁ」




……お兄、さん




二人は私の顔を見て驚く




「やっぱり、俺みたいな兄は嫌かぁ」




「急にごめんなさい、つい調子に乗っちゃった」






私の頬には生暖かいものが流れていた





『……違うの。嬉しｯ、嬉しいの、っ！』






正直、信じていたものがなくなって、急に環境が変わって


私だけついていけなくて、焦りと不安でいっぱいで…っ



でも、二人にそう言われて、本当に嬉しくて
二人は私が本当に兄弟ができたと錯覚するほど優しくて





『私っ、兄弟って言って貰えて本当に嬉しいの』





そう言って微笑むと堕姫は私を抱きしめて、妓夫太郎もまた頭を撫でてくれた



人間とはまた違う温かさを感じた





『私、これから堕姫姉と妓夫兄って呼ぶ、ね？』





「…こんなに可愛い子が存在してていいのかしら」




「あぁ、Aの好きに呼べぇ」






バンッ！！






「俺は！？ A殿！！ 俺のことは！？」





この何故か癇に障る声は





『童磨、うるさい』


「えぇ！！ でも、そんなA殿もいいねぇ」




私、童磨とだけは馬が合わないわ



『今、兄弟揃って仲良くしてるの。さようなら』



今、本当にこいつの顔だけは見たくない

自分を鬼にしたやつなんか



「そんなにつれないこと言わないでくれよ。あ、！！ そうだ！ 夫とかどう？」


『……は？』


なんて言った、この鬼




「力だって申し分ないと思うし、A殿の近くにいれるからね」





……上弦の弐、頭逝ったか




『童磨を夫にすることはないよ、あるとしてもペットじゃない？』





……嫌味を込めて言ってやった、のだが


なんで笑ってるの





「ペットかぁ、いいねぇ。よし、今日から俺はA殿のペットになろう！」



『……』


言葉も出ねぇよ





『……分かった

じゃあ、童磨。ここから出てって。飼い主の言うこと、きけるでしょう？』



兄と姉は笑いをこらえている



私、凄くない？ 上弦でも下弦でもない私が










上弦の弐にこんな口きいてるなんて……ハハッ

拾参→←感謝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す