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結界・解除 ページ43

Aは裏山を走っていた。兎に角来てくれという江雪に着いて来ていた。
不自然に男士達が集まっている。


 「何があった!?」


先ず目にしたのは、結界の外に放り出された小夜の姿だった。呆然としているが冷静さを保っている。逆に周りの男士の方が焦りを見せていた。涙ぐむ包丁を宥めながら厚がAに説明する。


厚「小夜と包丁が手合わせしてたら熱くなりすぎたみたいでな。小夜がこいつの攻撃で結界の外に出ちまったらしい」

包「俺のせいだ…手合わせしてって俺が誘ったから…」

小「違うよ。僕が弱かっただけ。あなたは悪くない」

江「お小夜、主が来ました。後少しの辛抱です」


江雪と宗三は小夜に視線を合わせて話し掛けた。兄達の方が焦っている様子だが、小夜は黙って頷いた。

Aは腕捲りをし気合を入れた。この結界は中からは簡単に出られるが外からの衝撃にはめっぽう強いという、少しばかり面倒な術式をしていた。つまり解くのが面倒なのだ。意識を集中させ、目を閉じて結界に触れる。その時、


宗「お小夜、後ろ!」


宗三が叫んだ。そんな事は滅多にない。驚いて目を開けると小夜の背後に時間遡行軍が迫っていた。何故、此処に?そんな疑問を抱く前に小夜は刀身を構えた。短刀と言えど練度はかなり高い彼は迫り来る何体もの敵を斬り付けていく。Aは再び結界を開く事に集中した。
結界に指2本分の隙間が空いた所で、


江「危ない!」


江雪の悲鳴が空気を震わせた。背後に忍んだ敵短刀がその刃先を小夜に向け迫っていた。江雪が結界を潜り抜ける一歩手前、隣を一陣の風が吹き抜けた。否、


包「すぱーっ!」


包丁である。彼は次々と敵を薙ぎ倒すとえっへんと胸を張った。小夜も負けじと刀を構える。


 「小夜、包丁!今だ!」


ギリギリ短刀が通れる隙間が出来た。声を掛けると先ず包丁が飛び込んだ。次いで小夜が潜り抜けると透かさず結界を閉じる。遡行軍が外でガリガリと斬り付けるが結界には傷一つ付かない。
江雪と宗三は小夜を抱き締め泣き崩れている。包丁はそれを遠くで眺め口を尖らせていた。


 「包丁、ありがとう」

厚「咄嗟の判断、流石だな!」


打って変わってAと厚の言葉に彼はふんすと鼻を鳴らし、両手を広げた。


包「ご褒美、頂戴?お菓子食べたいな」


厚はしょうがないなあと眉をハの字にし、Aは棚に入れたカステラを切ろうと決めた。
その前に手入れだ。小夜も包丁も良く見ればボロボロである。
そして結界の再構築。今回の件で結界の欠点が判明した。また新たな術式で張り直す必要があった。

最終章・本丸襲撃→←正月・お年玉



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いづみ(プロフ) - 餅田さん» コメントありがとうございます。がんばります! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 28595e5e52 (このIDを非表示/違反報告)
餅田 - 続きカモン! (2020年8月1日 23時) (レス) id: b17d16c344 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いづみ | 作成日時:2019年2月28日 23時

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