検索窓
今日:15 hit、昨日:1 hit、合計:29,375 hit

30 ページ30

ボソボソ・・・

何の夢だったかわからない。

私はよく、半覚せい状態で夢を見る。

明晰夢とは何かが違うけれど、

そう言う夢のときは決まって寝不足だ。

そんな時、耳に響いたのは男の声。

泥棒??

一瞬、そんな考えが頭をよぎった。

私は水白家の跡取り。

武術、話術は一通り学んだ。

学問は、勝手に本を読んで覚えているから、

人に何かを教えてもらった記憶はない。

それ以外の子供の遊びは、

すべて御波姉上が教えてくれた。

私だってばかじゃない。

数時間前、隣に誰がいたかくらい覚えている。

世の中には、女の人を襲う、という事件があるらしい。

何度か新聞で読んだ。

御波姉上が。

薄く目を開けてみると、

そこにいたのは泥棒でもなんでもなく、父上だった。

”父上!”

仕事であえていなかったその人。

久しぶりに話せると思った時だ。

「御波。
 速く起きろ。」

いつもより数段低い、父上の声。

なぜか恐怖心を覚えて、

口を閉ざした。

「・・・わかりました」

夜中でも、しゃんとした姉上の声。

二人は連れ立って、部屋の外へ出て行った。

さっきまで握られていた手が急に冷え、

反対の手で覆った時。

「・・え。」

何かが手につく。

生温かくて、サラサラというか、水っぽい。

ホントは理科の実験上、ダメみたいだが

こんな暗がりじゃあこれ以外判別方法がない。

恐る恐る、舌を這わせる。

しょっぱい・・・。

「涙・・?」

その時だろう。

私が子供ながらに、









覚醒したのは。

31→←29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:語り屋誠 | 作成日時:2017年3月7日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。