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現在時刻は十時。

今私がいるのはスナックお登勢の前。

ここを上に行けばいいんだろ。

ったく、なんの用なんだよ。

私は万事屋の場所さえも知らないし、

誰がやってるのかも知らねェって言うのに。

”ピーンポーン・・・”

二階のインターホンを押す。

「は〜い・・・」

「んお。」

まだ子供のメガネ君。

「・・・え〜と、どちら様でしょう?
 依頼ですか?」

「いやいやいやいや。
 君が呼びだしたんだろ。
 十時に万事屋。
 ったく地図ぐらい書いといてくれよ」

「え・・・ちょ、神楽ちゃんンンンンンン!?
 果たし状おいてきたの!?」

急に中にむかって叫ぶメガネ君。

この店、君だけでやってるわけじゃねェのか。

「何アルか新八。
 朝からうるさいアルよ」

「おおう・・」

チャイナ服にサーモンピンクの髪。

まあ、その髪は見るも無残な程にはねているが。

・・・まあ、私もはねてるけど、襟足。

直せねェんだよ・・・水じゃ。

ドライヤーは面倒くさいしな・・・。

「誰アルか、お前。
 仕事するから金払えヨ」

「・・・キャラが濃いな。
 果たし状に呼ばれてきたんだよ。
 わりィけど仕事じゃねェ」

「果たし状・・・
 お前、情報屋アルか!!
 何でもするのは万事屋の仕事アルよ!
 訴えてやるアル!」

・・・急に何を言いだす、この子は。

訴える?

仕事内容がかぶってるから?

え・・・そう言う訴えって、ありなの??

「え、ちょ・・・
 一体、何の話だ?」

「ここへきてとぼけるアルか!
 新八、ちょっとあいつ呼んで来るネ!!」

「ええ!?
 ・・・わかったよ・・・」

まだいるのかよ、従業員。

「あ〜・・・?
 俺ァ二日酔いなんだよ・・・
 お前らだけで・・」

「っ!?」

くるくると独特の癖がある銀髪。

面倒くさそうな話し方。

服装はずいぶん変わっているけれど。

「!?
 おま・・・」

頭が真っ白になった。

もう二度と会いたくなかったのに。

もう会っちゃ、いけないはずだったのに。

「っ!!!」

踵を返して二階から飛び降りる。

ふと振り返ってみれば、”万事屋銀ちゃん”の文字。

・・・来る前に気づいてれば。

向かいの家の屋根に飛び乗って、屋根の上をかける。

「おい!
 まて、暁!!!」

後ろから聞こえる声。

追いかけてこないで。

いやなんだよ・・・

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作者名:語り屋誠 | 作成日時:2017年3月7日 5時

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