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朝。

「おいおいおいおい、八時に出たのに
 もう九時四十五分じゃねェか」

誰にともなく小さくつぶやく。

ただ聞けばいいだけなのだろうが、

ここは歌舞伎町。

夜が長くて朝が短い街。

人通りも昼過ぎにならないと多くならない。

道くれェ、書いといてくれてもいいじゃねェかよ・・

ん、人。

「ああ、そこの人。
 万事屋って知ってるか?」

「ああ、万事屋ね。
 お兄さん、あんなところに一体何の用だ?
 別に知り合いって言うわけでもなさそうだしな。」

「なんか手紙が来てたんだよ。」

それに私は女だけどな。

「へえ。
 まあ、
 あそこの店主は何考えてんのかわかんねェからな。
 ・・・万事屋なら、この道をまっすぐ行って
 三つ目の角を左、そのあとひとつ目を右だ。」

「結構近いんだな・・・。
 ありがとう」

「気ィ付けてな〜!」

いい人に会えた。

顔、もう思い出せないけど。

で?

ここをまっすぐ行って三つ目を・・・

どっちだった?

・・・マジかよ。

「わりィ、アンタ!!
 三つ目を??」

「さっき言っただろう!!!
 左だ、左!!
 そのあとは右だぞ!!!!」

叫べば叫び返してくれる。

・・・よし、左で右だな・・・。

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作者名:語り屋誠 | 作成日時:2017年3月7日 5時

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