卵盗人3 ページ22
間一髪、岩の影に隠れたハリーが杖を振るのが見えた。
一見何も起こらないように見えるが、私は確信していた。
あんなに練習したのだから、ハリーには出来ると。
その証拠に、それを発見した生徒が次々に声をあげ、そうして騒ぎは会場を包み込んだ。
「見て！あそこ！…箒だ！」
稲妻のように飛んできたファイアボルトを、岩の影から抜け出したハリーが引っ掴んで疾風のごとく飛び上がった。
ワア、という歓声を置き去りに、ハリーを乗せたファイアボルトは空高く舞い上がる。
それを追って、ホーンテールも飛び去ってしまった。
しばしの静寂、そして不安と期待。
そよそよと安否を疑う囁き声。
だが、ハリーはやってのけた。
「ハリーだ！生きてるぞ！」
「帰ってきた！」
ホーンテールをうまく撒いたのか、ハリーは1人で飛んできた。
そして誰にも邪魔されず金の卵を手に取り、高く掲げたのだった。
「A」
ふと、ドラコがハリーを見つめたまま、ぼんやりと聞いてきた。
「僕は一生、ポッターに勝つことは出来ないのだろうか」
その瞳は靄がかかったようにくもり、呆然と会場の喧騒を眺めている。
湧き上がる拍手喝采に包まれ嬉しそうに笑うハリー。
嫉妬、だろうか。
それとも───。
「…あなた、馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、本当の馬鹿だったの？」
なんだと、と振り向いたドラコが眉を吊り上げる。
私はさっき彼がしたように、彼の手に手を重ねた。
「ハリーはここのところ、ずっと呼び寄せ呪文を練習していたのよ。
そもそも代表選手は皆、課題がドラゴンだって知ってたもの。
今ここでハリーが咄嗟にあれを思いついたわけではない」
ハリーには確かに、生き残った男の子というネームバリューがある。
シーカーとして名を挙げてもいる。
だが、それを理由に諦めるのは、馬鹿のすることだ。
ハリーとて、才能だけで生きているわけではないのだから。
「その傷も、涙も、抱いた感情も、絶対に無駄にはならないわ。
あなたがハリーに勝とうと、足掻くかぎり」
嫉妬は1番の起爆剤だ。
その感情を、どうかあなたの糧にして欲しい。
ただただ妬み、嫉み、毒を吐くだけで何もしない、外野にはならないで。
「だってライバルでしょう」
ドラコは驚いたような、安心したような顔をして私を見ていた。
は、と息をついて、「それもそうだな」と笑った。
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アキラ(プロフ) - でぃあさん» そう言って頂きとても嬉しいです、ありがとうございます！出来る限り毎日投稿頑張ってます、楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年5月10日 2時) (
レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - コメント失礼致します！今まで読んだドラコの小説の中で1番好きです、、。大変だとは思いますが、更新心待ちにしております！！ (2020年5月10日 1時) (レス) id: 9634e00201 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - ライキさん» ありがとうございます。炎のゴブレットは好きな巻なので、原作に泥を塗らないように頑張ります (2020年4月19日 1時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ(プロフ) - すっごく面白いです！頑張ってください！ (2020年4月18日 18時) (レス) id: 6dfa20d2dd (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 黒猫王さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します。 (2020年4月13日 17時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキラ | 作成日時：2020年4月13日 1時
