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続き ページ12

苦しい。胸の奥の方が痛い、痛い。思い出したくなくて、でも忘れちゃいけないかつての日々を私はこの腕に抱いて生きていた。ずっと心の奥にしまって見えないふりをしていたのに、よりにもよって今日それが崩壊してしまった。見たくない思い出したくないいやだ見せないでそれはもう過去のことなのいやだいたいいたい。

もしも私がここの中学でなく地元の中学に通っていたら彼のところへ1度くらいは見舞いに行けただろうか。あぁ、過去にもしもなんて存在しないのに、そんなことを思わずにいられない。喉元までこみ上げた嗚咽をなんとかこらえて扉を目指す。顔を洗おう。水と一緒に悲しみも、思い出も流してしまえ。

夏の始まりを含んだ水はまだ冷たくて、今にも泣き出してしまいそうな顔を引き締めるには十分だった。泣くな、泣くな。人前でないちゃいけない。気丈であり続けろ。きっと笑顔は帰ってくる。
すすり泣く声のひびく教室へ戻っても、あまり三年前の記憶は引っ込んでくれなかった。彼が倒れたことも、それからずっと入院していたことも、小学校の終わりで体育が大の苦手になっていた理由も、全部全部彼が届かない場所へ消えてしまってから知った。

放課後、部室へ向かうと先輩が待っていた。相当ひどい顔をしていたらしい。何かあったの?そう聞かれた。あった。いろんなことがあった。でも、この思い出は、感情は、話せない。話したくない。

「……まぁ、いろいろと」

うまく笑えていただろうか。そんなはずはないのだけれど、先輩はそう、とだけ言ってまたスマホの画面に目を落とした。ごめんなさい。嘘ついてごめんなさい。あなたの優しさが今は痛いの。

気を抜いたら涙が溢れそうで、でも人前でないちゃいけないから、なんとかとどめる。あぁ、そういえばあの子には泣きそうな時上を向いてこらえる癖があったな。日常の、本のひとコマさえ彼を思い出すトリガーになってしまっている。

もしかしたら私は存外彼のことを好いていたのかもしれない。それがそういう感情であるかは分からないけれど。

どこまでも遠い空を仰ぐ。青い青いキャンバスに、ただ雲ばかりが浮かんでいた。


。。。。

最後はどう締めればいいのかもわからなくて変な感じになってしまいました。
くそ重い話ぶっ込んでごめんなさい。ごめんなさい。知人に向き合えなかった私を許して

Voix de l'ange 8→←本編ではない。



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草谷 玲(プロフ) - Hana@美月姫さん» コメントありがとうございます!!長い間更新してないと話の内容を忘れてしまってちょっと放置していたのを後悔してます…w 更新遅くてごめんなさい。頑張ります!! (2017年3月11日 1時) (レス) id: 36db035794 (このIDを非表示/違反報告)
Hana@美月姫(プロフ) - テストお疲れ様です! 作者様のペースでこれからも更新頑張ってください♪ (2017年3月10日 23時) (レス) id: 6ef80e5a16 (このIDを非表示/違反報告)
草谷 玲(プロフ) - カエデさん» コメントありがとうございます。そう仰っていただけて嬉しいです。こっそりフォントも変えて、打てる文字も多くなったので、推敲はしようと考えています。主人公のしあわせを願っているので、なんとか自分の思い描いた終わりに持っていければな、と。 (2016年12月29日 21時) (レス) id: 36db035794 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 私は作者様自身が作品に愛着が持てるような作品を作っていただきたいので、推敲したいと作者様が考えるなら推敲するのに賛成です。待ってます^^ (2016年12月29日 20時) (レス) id: cc1036df59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:草谷 玲 | 作成日時:2016年11月25日 23時

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