死にたがりやの幼女審神者 (ページ38)

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34話逃げ道4 ページ38

「不動は、前任から酷い仕打ちを受けていたんです。確かに不動は他の短刀に比べたらレアなんです」

初めは宗三が気にかけたことから始まりました。

前任は宗三を気に入っていました。

きっと、不動に取られたと思われたのでしょう。

前任は不動に過度の出陣を命じました。

中傷で帰って来ても手入してもらえず、遂には部屋に篭り、誰にも会わない様にしていました。

俺が不動を部屋から引きずり出した時には、何も映さない目をしていました。

何も話さず、反応もしませんでした。

ただある日、一言だけ言いました。

「殺して」

これが、俺の聞いた最後の言葉でした。

そして、数日が経った後、様子を見に行ったら不動は少し闇堕ちしかけていました。

俺は、どうする事も出来なかった自分に腹を立てました。

それから、毎日会いに行きました。

ですが、寧ろ、闇堕ちは悪化していました。

日に日に不動の体を飲み込んでいきました。

「俺は、不動の苦しみを分かってやれませんでした」

貴女「自分のことは、他人には分からない。だから、他人のことは自分に分からない。それが人間」

椿は、長谷部を見上げた。

「そう、、、なのですね」

「すみません‼審神者はいますかっ⁉」

審神者部屋のドアを強く叩く音がした。

ドアを開けると、刀を腕に抱きしめた男性？女性がいた。

「不動を、不動を助けて下さいっ！」

「宗三っ⁉」

不動という言葉に長谷部は固まっていた。

「折れ、、、てる」

髭切の言葉に誰もが息を飲んだ。

貴女「な、治しますっ！」

「主、どうか不動を」

長谷部は、土下座をして言った。

「不動を助けて下さいっ‼」

貴女「うん、分かった」