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何者かが舞台袖から観客席を覗く。
「かぁーっ。満席、満杯、満員御礼。未来のスター様の影響力はハンパないね」
「ふふ、そうだねえ。流石と言ったところかな」
「本当。まさかあんなに簡単にディレクターを説得して休みもぎ取ってくるなんて」
「またみんなと集まってショーをできるなんて夢みたいっ！ あーっ、早く始まらないかなぁ！」
「気持ちはわかるがまあ待て、主役が来てからだ」
「……おや、噂をすれば」
四人の視線が奥から現れた一人に集まる。
懐かしい、《あの頃》の衣装を纏った彼は、その全員の表情を見回してから、こう言った。
「諸君、いよいよだな」
「あぁ、そうだね」
「みんな頑張ろうねっ」
「やろう、全力で」
「よろしく頼むぞ、――」
そう言って彼はステージを見上げる。つられて全員が、旧友を懐かしむような眼差しを向けた。
ずっとずっと、彼らの、俺達の行く末を見守っていたワンダーステージ。離れる時もあったけど、またこうして、ここの舞台の上に立っている。
「あ、えむ。せっかくだからいつもの、やろうよ」
「ほえ？ ……ああ！ いつもの、ね！」
夢を叶えて、またさらなる夢を見つけて。この先何があろうと、きっとここに戻ってくる。
何度でも。道を間違えても、絶対に。
みんなの笑顔に触れて、胸が膨らむような気持ちを、ここに立てばいつだって思い出せる。
「それじゃあ、いくよっ？ わんわん〜〜〜……」
『わんだほーいっ！！』
だって俺達は。
《あるところに、ヘンテコな旅の一座がいました！》
笑顔いっぱいのワンダーランドで繋がってるから！
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