＿＿終幕＿＿ ページ9
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《これにて、終幕とさせていただきます。
本日はご来場頂き、誠にありがとうございました――……》
一時の夢が終わる合図のアナウンスが流れ、客席が明るくなる。
感情を丸ごと支配されてしまったかのような感覚。
観客達はいつまで経っても、自分の座席からから動くことができなかった。
☆
9月30日。
絶賛人気急上昇中の舞台俳優天馬司が電撃的に発表した情報は日本中、下手したら世界中を震撼させた。
「ちょうど今から一年後、全てが始まった場所で。
世にも素晴らしい、最高のショーをご覧に入れましょう」
それに伴う彼の一年の活動休止。直後のニュースは全てその話題で持ちきりだった。
詳細は誰も知らない中、様々な憶測が飛び交い、でも、もっと世界に色鮮やかな夢を見たくなるような、そんな出来事が起こることだけは確かだった。
しかし、どんな話にも消費期限がある。話題に目新しさがなくなり、ネットニュースにて考察の特集が組まれなくなった頃。
また、新たな爆弾が投下された。
“《ワンダーランズ×ショウタイム〜リユニオン！》
詳細発表
キャスト――”
ここぞとばかりのタイミングで発表されたのはそれこそ、本当に誰も予想などしていなかった、できなかった規模の情報。
天馬司はもちろんのこと。
ブロードウェイの頂点にまで上り詰めた絶世の歌姫草薙寧々、鳳グループ跡取りとしてフェニックスワンダーランドの経営の仕事をこなしつつ女優の才覚も目覚ましい鳳えむ。
演出家兼役者には、奇想天外な演出が売りの様々なテレビドラマ・映画・その他映像作品で引っ張りだこな期待の新星神代類。
他にも、若手ガールズバンドや新進気鋭のアイドル、実力派ストリートユニット、巷で話題のアーティスト、果てには知る人ぞ知るネットサークルまでもをスペシャルゲストとして招き、それを知った世間はお祭り騒ぎ。
二部構成で行われるだとか、チケットは完全先着制だとか、公演場所はあのフェニックスワンダーランドのワンダーステージだとか。その後も情報は小出しにされ、一年間の空白を埋めるのには十分すぎた。
そうして、迎えられた本番当日。
客席に収まりきらない程の人が押し寄せ、そして、全員が今か今かと開演を待ち侘びていた。
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