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時間差でひらひらと落ちてきた紙吹雪。いよいよ何が何だかわからなくなってきたところ、司は何かを見つけたらしく、とある一点を凝視したまま口をぱくぱくさせていた。
正直嫌な予感しかしないしできればそれを確かめないまま帰りたい。
しかしついに溢れる好奇心に負け、恐る恐る彼の視線の先を追い。
「…………？？？」
絶句した。
「おめでとわんだほーいッ！！ えっへへ、びっくりした？」
「いやぁおめでとう二人とも！！ 僕達からのささやかなお祝いは喜んでもらえたかな？」
「Aーっ！ ついに結ばれたんだねおめでとーーーっ！！」
「ったく、人騒がせだなぁ、やっとかよ」
「先輩、おめでとうございます」
「ちょ、ちょっと類、流石にやり過ぎじゃ」
何か言う前に、駆け寄ってきた瑞希とえむ(なんで神高にいるんだ？)からの勢いの良すぎるハグを受けて、思わずその場に尻餅をついた。
「良かったね、良かったねA！ あやばい今までの苦労を思うとボクちょっと泣けてきた」
「あ、あたしも〜〜……！ 本当に、ほわほわできらきらでわんだほいだねっ」
「は？ ……え、いや、はァ？？」
もう本当に訳がわからなくて、わかりたくもなくて、そうとしか言えなかった。うりうりと頬擦りをしてくるえむを取り敢えず押し退け、座り込んだまま寧々に視線を寄越す。他に縋れる奴がいなかったからだ。
おい常識人止めろよ。お前が止めなきゃ誰が止めるんだよ。
「わ、私もこうなるとは思ってなくて、普通にお祝いするんだとばかり」
「付き合ってノータイムでお祝いするな」
「先輩、こちら心ばかりのお品です。どうぞ」
「待て冬弥冷静に考えろ、それは本当に今渡すものか？？」
「水臭いねぇ司くん、こういうのは素直に受け取ってね――おや、ペアのマグカップじゃないか。いいセンスしてるね冬弥くん」
「お前が受け取るな！！」
「ありがとうございます。でもこれは俺だけじゃなくて、彰人と一緒に選んだもので」
「そうなのかい？」
「別に……。コイツらにはそれなりに世話ンなってるから」
「だからお前じゃないだろ！！」
一通りツッコミ疲れてぜぇぜぇ、肩で息をする。なんだってコイツらはこんなに騒がしいんだ……！？
「……まぁ、でも」
こういうのも、案外、俺達らしいのかもしれない。
遠くから「またか神代ーッ！！！」と叫ぶ声が聞こえてきて、全員で顔を見合わせる。ひとしきり笑ってから、慌てて屋上を飛び出した。
床に置きっぱなしの台本。
風に煽られて、ページが一つ、捲られる。
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