検索窓
今日:10 hit、昨日:29 hit、合計:6,343 hit

演目『代弁☆まいせるふ!』 ページ24

.

「お待たー……あれ、類は?」
「あやつは先生に捕まって説教中だ」
「はぁ……。で? 今度は何だ」


そう聞くと、「校庭に穴を開けらしい」と返ってきて、まあ、予想通りの返答だった。たまには三人仲良く食べようと約束したばかりだってのに、何してんだ。


「今回は火薬も絡んでいそうだし、当分離してもらえないだろうな」
「火薬? あの人火薬使うの??」
「まあな。オレの前髪が何度チリヂリになったことか」


一番重要な部分を相槌一つで済ませて、司は被害にあった前髪のことを語り出す。

いやいやいや前髪より火薬の件もっと話すことあるよな。


「まあ俺が気にすることないか」


座ろうとしたところ指摘されて、渋々ハンカチを敷く。全く本当に、変なところで育ちの良さが垣間見えるな。声量もそれくらいお上品だったら直良なんだけど。


「いっただっきまー……。なんだ、言いたいことがあるんならさっさと言えよ気持ち悪い」
「エ゛ッ。あ、すまん、顔に出てたか?」
「バッチリ。『すごく不思議で疑問です』ってデカデカと書いてある」


コイツ、本当にわかりやすいな。

あまりにも強い視線を感じ、呆れた顔でそれを伝える。どうやら本人は全くそのつもりがなかったらしい。


「いや、しかし、大したことじゃないというか、あまり踏み込まれたくないだろうから」
「えぇ? 今更そんなんないだろ、誤魔化される方が居心地悪い」


そう言ってみるけど、司はいつまで経ってもごにょごにょごにょごにょ。

急になんだ。変なものでも食ったんだろうか。

じぃっと視線で催促をすると、一通りごにょり終わった司が言葉を慎重に選びながら、といった風に口を開いた。


「本当に気に障ったらすまん」
「いい。俺の器は海よりも深いからな」
「深い意味はないんだが……Aは、“俺”なんだな、って思っ、た、んだ」
「……あぁ、なんだそういう」


さっきからやけによそよそしいというか、遠慮している理由がわかった気がする。確かに、言い出し辛かっただろうな。

暗い顔をしている彼には申し訳ない、が。


「ごめん、お前が期待しているような理由は、っていうかそもそも、特に理由もないんだ」
「そ……う、なのか?」
「うん。なんていうんだろ、逆らいたかったんだ」


当たり前に。

こうして考えると、中々に子供じみた単純な動機だと思う。でもきっとあの頃の俺には、自分の呼び方なんていう些細なこと一つも、己を縛る鎖に思えたのだろう。


「ガキの反抗期だよ。とにかく全部変えたくて。あー懐かしい、部屋の物全部出して、ちょっと壊してみたりとかもしたっけ。まぁ、俺にもそういう荒れてた時期があったってわけだ」

▼→←▼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:プロセカ , 天馬司
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:詩声 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年7月1日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。