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「えー、みんな同じだと思うけどなー」
「嘘だろ」
例えばえむとか、類、寧々……果てには彰人と冬弥にまで、俺と司が、“そういう”仲だ、と……。
そこまで考えて慌ててそれを打ち消した。最悪すぎる。今までずっとそんな風に思われてたなんて恥ずかしいにも程がある。
「そもそもだ、司を恋愛対象として見れる要素がどこにあるってんだよ」
「うわ辛辣だね」
「確かに優しいさ、頼りになるし、ガサツに見えてちゃんと気遣いとかできるし、案外虫が嫌いなのもちょっと可愛いし、練習に遅くまで付き合ってくれるし、この前だって」
「ちょ、ちょっとストップ」
人が話している最中だというのに、瑞希の慌てたような中断で口を閉じる。
おいなんだよ、お前が言うから話してるのに。
「いや……え、えぇと、なんて言えばいいのかな、うーんもしかしてA無自覚？」
「は？ 何が」
「うん、無自覚だね」
やれやれ、と今度はあからさまに呆れた態度を取られて、更にカチンとくる。言いたいことがあるならはっきり言えと詰ったら、ちょっと笑いながら瑞希は言った。
「冷静になって考えてみてよ。普通、よっぽどの感情がない限りそんなにいっぱい長所出てこないよ」
「………………確かに？」
「ね、ここまで言ったらもうわかるでしょ」
言われたことと、先ほどの自分の発言をもう一度、頭の中で転がしてみる。
言われてもみれば、瑞希の言う通りかもしれない。だとしたらなんだ。その《よっぽどの感情》ってのは一体なんなんだ？
ぐるぐるぐるぐる、あれも違うこれも違う、だとしたら、残るは。
「あー…………なるほど、そういうことか」
「お？ なになに、ボク気付きを与えちゃった？ 恋のキューピッドになっちゃ――」
「無意識ってヤツか、全然気付かなかった。俺……相当、司に恩を感じてたんだな」
「………………えぇ？」
まーチビの頃からの付き合いだし、ついこないだも随分世話になったしなぁ。ちょっと大袈裟だけど、命の恩人？ 心の友？ そんな感じ。
そんなことを喋っていると、瑞希は突然「もーお手上げだぁ〜！」という呻き声と共にテーブルに突っ伏した。
「これは先輩が可哀想だな〜……」
「は？ なんでだよ」
「もう面白いからAはそのままでいてよ」
「お前、さっきから変だぞ」
世紀のにぶちんって、弟くんが言いたくなるのも納得だな。
そんな瑞希の独り言は、運ばれてきたえんじぇるすふれのおかげで俺の耳に届くことはなかった。
☆
『せんぱーい！』
「おお瑞希か、どうした、わざわざ電話なんて」
『A、多分脈アリですよ！』
「なッ」
演目『代弁☆まいせるふ！』→←演目『盛況☆がーるずとーく！』
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