演目『盛況☆がーるずとーく！』 ページ22
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「そういえばずっと聞きたかったんだけど、Aってさー、司先輩のこと好きなの？ あ、ていうかもう付き合ってる？」
「ブフォッ！？」
「うわー、っあはは、盛大にいったね」
咽せながら、はいティッシュ、と渡された物で口元を拭う。服にまではかからなかったようだ。不幸中の幸いってやつか。
隣でけらけらと面白そうに笑っている瑞希を睨みつける。
「ゲホッ、ん゛んッ、お前なー……人が物飲んでる時になんてこと聞いてんだよ」
「あッははは、ッはァ、ごめんごめん！ お詫びに一口どうぞ」
「ん……んむっ、美味しいなこれ」
「でしょー！ 絵名って友達にね、教えてもらったんだ、内装もカワイイしスイーツも絶品だしもう最高だよね！？」
テンション高めな雰囲気に押されて、「お、おう」と控えめな返事。
でも確かに、美味い。この名前が長くてよくわからない飲み物も、瑞希がくれたやたらふわふわしてるパンケーキも、全部。おかわりしちゃおっかな、えっとメニューはー……。
「俺さ、この……えー……『ふわふわ♡えんじぇるすふれ』食べたいんだけど。なあ瑞希、代わりに注文してくれたりって」
「えー、自分でしなよー」
「ですよね」
……ここ、少し、俺には可愛い過ぎる気がしなくもない。
恥を忍んでえんじぇるすふれを注文し終えた頃、瑞希はずいと身を乗り出してきた。ああ、やり過ごせなかったか。
「それで、どうなの？」
「……何が？」
「もうはぐらかさないでよー、さっきの話！」
悪戯っぽく「ちゃんと答えてくれるまで離してあげないからね〜」と告げられる。
勘弁してくれよとどうにか逃れられないか交渉してみるも、お互い譲らず話は平行線に。
そもそも、あんな質問、どう答えりゃいいんだよ。何言っても波紋を呼ぶじゃん……。
瑞希と知り合いになって早数週間。
聞いた話よりも気さくな奴で、何回か教室で声を掛け合う内に打ち解け、今ではすっかりこうして休日に“カワイイお店巡りデート”(と瑞希が称していた)する仲に。
俺のどこかそんなに気に入ったのか皆目検討がつかないが、まぁ、人を好きになることに理由なんて必要ないだろうな。いい奴だし。
「あ、そっか、言えないってことはやっぱり」
「はぁッ、勘違いすんなよ、別に俺と司の間にゃ何もないから！」
「え、そうなんだ」
「なにその『てっきり付き合ってるんだと思ってた』みたいな反応」
「おー、読解力高いね〜」
きっぱりと否定をし、取り敢えず手元の飲み物を一口。
全く飛んだ迷惑だ、そんな疑いをかけられるなんて！
「大体、何をどうしたらそんな説が浮上するんだよ」
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