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「先輩ってさ」
「なんだ？」
「……彼女さんとかいんのか」
「ぶふッ」
そう聞くと、天馬は勢いよく吹き出した。なんだ図星か、と視線でその先を促す。
俺は色恋だとかには興味がないが、他人のとなると話は別だ。この男の恋人とか正直気になってしょうがない。早く吐け。
「ん゛ん……っ、何を勘違いしているのかは知らんが、オレはまだ、その、こ、恋人はいないぞ」
「初心だなぁ」
「うるさい！！」
若干頬が紅潮した天馬は咳払いをして俺を否定する。残念だ。
俺が彼に彼女がいると推察した理由は簡単。女子の喜ばせ方がわかっているからだ。
さっきも言った通り、俺は人が恋愛する様が大好きだ。それと俺の性格が相まって、よくよく性別を問わず色々と恋愛相談をされることがあった。
なので、それなりに『女子がキュンとするツボ』というヤツを抑えている。そんな俺の素晴らしい勘が、「天馬司はリア充だ！！」と訴えかけ続けている。
「本当かぁ？ 誤魔化してんじゃねぇの？」
「オレは嘘は吐かない。この話は終わりだ！」
「ちぇ、つまんねぇの」
てかいい加減離せよ、と膝の上から脱出を試みるが、寝起きの体ではどうもうまく力が入らず、また天馬に押し負ける。
なんなんだコイツ。恋バナでは顔赤くするクセに、変なところで大胆だな……。
そよ、と柔らかい風が辺りを揺らす。いい風だな、とか言いつつさりげなく俺の乱れた髪を直す天馬。
いや、お前絶対恋人いるだろ。
ふいに、彼が目元をすりっと撫でた。おい変態、の言葉は心配を含んだ声に掻き消された。
「隈、酷いな」
「え？ あ、あぁ……昨日夜遅くまで試験勉強してたんだぜ？ 偉いだろ」
咄嗟に思いついたデタラメを並べる。浮かべた表情は引き攣っていないだろうか。
天馬に、ステージの皆に、悟られてはいけない。居場所を与えてもらって、役割を与えてもらって、もう俺には勿体無いほど良くしてもらっている。
これ以上、世話になるわけにはいかないのだ。そうでないときっとまた、バチが当たる。あれくらいの暗記、A様にとっちゃ朝飯前なのだから。
「……そうか。励むのは良いが、無理はするなよ」
「……？ それくらい自分でわかってるっての。先輩、膝ありがと、もう平気。予鈴なりそうだし、俺戻るわ」
「ああ。遅れるなよ？」
「はぁい、天馬先輩」
彼の不安を拭い去ように、わざと軽やかな足取りで立ち上がる。まだ少し頭が重いが、そんな腑抜けたことは言っていられない。
去り際に見た、天馬の何か言いたげな表情が、妙に頭に残っていた。
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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (
レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶（？）みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です！！お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます！！ (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです！応援してます！ (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
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