Guy Fu！Show U.-磑風舂雨-(all her side) (ページ27)

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⑧FINAL-1*『最近、お前自転車漕いでないだろ。』ページ27

黄色い自転車
私のママチャリ遅いな。。。
君についてくのって結構ハードだよ～～、、

『最近、お前自転車漕いでないだろ。体なまるから、ちょっと遠くの公園までサイクリング行こうよ。桜とか菜の花咲いてるってよ。』

突然の風磨くんからのお誘いに、そういえば買い出しの時はのんびり歩いているし、テレワークになってから自転車に全く乗っていないなとギクリとした。
平日は毎日大活躍してくれていた私の可愛らしい黄色い愛車も、今ではすっかり砂埃にまみれて
心なしか寂しそうに社宅の駐輪場に佇んでいて。

確かに、足の筋力が落ちて行ってる感じは否定出来ないな…
ウイルスは外だとトゲトゲがとれるから大丈夫らしくて、私は風磨くんのお誘いに乗ることにした………ところまでは、良かったんだけど。

『ゆっくり行くから』なんて言っていたクセに
15段変速なんてずるいよ！！
風磨くんよりスタミナもなくて、3段変速の私は早くもバテバテになりながらも、置いて行かれまいと半ば意地になりながら彼の後をついていく。

二人でリュックを背負って、5つ向こうの駅まで………自然公園という名の、この辺では知る人ぞ知るデートコース。
…ま、私たちカップルじゃないんだけどね。笑
はあ、、あと何キロくらいあるかな……ランチはまだ先ね。。。

自転車を必死で漕ぎながら、
風磨くんの後ろ姿が、なんか愛おしく思えた。

予告もなしに訪れた青い季節の自覚が、
きっと君より少し遅かっただけで────。

誰にも気付かれない小さな音で、恋は弾ける。

信号待ち、誰にも聞き取れない小さな声で
「好き」がこぼれた。

公園までの道のりは坂道が続くけど…うん、大丈夫。
ダイエット代わりでしょ、青春。
『ぽちゃっとしてるのが好きなんだ』
とか、、男の子はみんな言うけど本当かなぁ…
そういえば風磨くんの好みって聞いたことない。。。

『Aー、大丈夫？？』

チラリと一瞬後ろを振り返った風磨くんに、少し大きな声で呼び掛けられる。

「し！！！ぬ！！！」

息も絶え絶えに途切れ途切れに叫べば、笑いながらまた振り返られた。

もうすぐ公園に近付く。
これが最後の坂だ……ファイティン！！
自分で自分を鼓舞しながら、ギアを1に変えて立ち漕ぎで何とか風磨くんの後を追って行った。