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9話 ページ9

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「そういえばさ、月島くんって山口くんと仲いいけど一緒に帰んないの?」

「途中までね、別れたところで君が来るから」

「まじか!」


私が笑うと、その笑い声は夜空に吸われるように消えていく。
宮城の空は綺麗だ、そう改めて感じる。

元々いた場所の空が汚かった訳ではないけれど、宮城は特別綺麗。
空に浮かぶ月を見て思い出した。

月島くんにお礼にチョコを買ったこと。
私はカバンからパッケージが少しへこんだチョコを出して月島くんに渡す。


「なにこれ」

「甘いの嫌いだった?」

「好きだけど、急に何」

「教科書のお礼」


月島くんはじろじろとそのチョコを受け取って眺める。
何かおかしいところがあったろうか。

私がそう思って覗き込むように月島くんの顔色を伺っていると、月島くんは意外にも素直にありがと、と言った。


「Aさんもひとつ食べなよ」

「いいの!? ありがとう!」


私は嬉嬉として、チョコを1粒つまんで口に放り込み。
甘さが舌の上で溶けていく。

勉強したあとの脳が、糖分を欲しがっている感覚がする。
あんまり美味しいものだから、思わず微笑んでしまう。

そんな私を見て月島くんが言う。


「幸福感知度が低いね」

「それだけいっぱい幸せになれるよ」

「ふーん」


月島くんもチョコを口に含み、少し口角を上げた。

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ゆめこちゃん(プロフ) - すごく好み、、(?)で、素敵な作品でした、、。きゅんきゅんしましたありがとうございます(; ;) (2020年8月26日 4時) (レス) id: 6313a1e292 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 相成るさん» コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に嬉しいです!御愛読ありがとうございました! (2020年1月4日 20時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
相成る - すばらしいっ!! (2020年1月2日 23時) (レス) id: c03a59c17d (このIDを非表示/違反報告)
海石榴《ツバキ》(プロフ) - 時雨 彩さん» 終わってしまうのが名残惜しいですが、とても素敵な作品をありがとうございました!! (2019年12月20日 23時) (レス) id: 906a0c9fbd (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» コメントありがとうございます。テストがあって更新ペースは遅い時期もありましたが、そう言っていただけて嬉しいです。御愛読ありがとうございました! (2019年12月20日 23時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨彩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年12月11日 22時

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