8話 ページ8
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放課後、私はいつも自習室で完全下校時刻まで勉強して帰る。
空を見上げながら機嫌よく歩いていく。
何かある訳では無いけれど、私は頑張ったという事実が優越感のようなものを生み出す。
角を曲がると、電柱の影に明るい髪。
「月島くん? 誰か待ってんの?」
「別に」
「てか物理の教科書ありがとね!」
私が歩き出すと、月島くんも私の隣をゆっくり歩き出した。
月島くんは少し呆れたような表情で言った。
「あの変な虫何なの?」
「ほたる! 月島くんだよ!」
「……僕、ほたるじゃないんだけど」
「えっ」
月島くんは少しムスッとした表情を浮かべる。
いつも意外と表情の出やすい月島くん、多分自覚はないだろうけど。
「けい、だから」
「蛍でけい?」
「そう」
「まじか、えー、ごめん」
「別にいいけど」
そこで会話が一度終わってしまう。
わざとでないとて名前を間違えられるのは不快だろう。
私が彼の顔を覗き込むと、案外気にしてないような表情。
「月島くん、怒ってる?」
「怒ってない」
「ほんと?」
「じゃあ怒ってる」
「じゃあって何!」
私がそう言って笑うと、月島くんも微笑を浮かべた。
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ゆめこちゃん(プロフ) - すごく好み、、(?)で、素敵な作品でした、、。きゅんきゅんしましたありがとうございます(; ;) (2020年8月26日 4時) (レス) id: 6313a1e292 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 相成るさん» コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に嬉しいです!御愛読ありがとうございました! (2020年1月4日 20時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
相成る - すばらしいっ!! (2020年1月2日 23時) (レス) id: c03a59c17d (このIDを非表示/違反報告)
海石榴《ツバキ》(プロフ) - 時雨 彩さん» 終わってしまうのが名残惜しいですが、とても素敵な作品をありがとうございました!! (2019年12月20日 23時) (レス) id: 906a0c9fbd (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» コメントありがとうございます。テストがあって更新ペースは遅い時期もありましたが、そう言っていただけて嬉しいです。御愛読ありがとうございました! (2019年12月20日 23時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
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