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29話 ページ29

*




「Aさん?」

「わっ、月島くん……」

「なにそれ」


ある日の放課後、自習室に行く前、私は教室で1人で悩んでいた。
部活は休むらしい月島くんが、私の手元を覗く。

私が持っていたのは手紙。
それもラブレターのようなもの。
差出人は分からない。

月島くんは私の持っていた手紙を見てあからさまに不機嫌そうな顔をする。


「ラブレター?」

「たぶん」

「誰から」

「わかんない」

「名前も書かないような奴と付き合うわけ」


眉をひそめ、唇を不機嫌そうに尖らせながらそういう月島くん。
何をそんなに不機嫌になる必要があるの。

そういう訳じゃないけど、と言って私は手紙を封筒にしまって、ファイルに入れてカバンにしまう。


「Aさんも帰るの?」

「帰る! 月島くん、1人じゃ寂しいでしょ!」

「寂しくないし」


月島くんはいつも通りの私を馬鹿にしたような笑みを浮かべて私に言った。


「そんなことしてていいわけ?」

「いいのー、月島くんこそ」

「僕はいいんだよ」


月島くんは私の手首をいきなり取って、歩き出した。
かあっと顔が熱くなる感覚。

私を引っ張る月島くんの顔を見上げると、耳が赤くなっているのがわかる。
なに、これ。

胸がぎゅっと何かに掴まれるかのように痛む。

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ゆめこちゃん(プロフ) - すごく好み、、(?)で、素敵な作品でした、、。きゅんきゅんしましたありがとうございます(; ;) (2020年8月26日 4時) (レス) id: 6313a1e292 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 相成るさん» コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に嬉しいです!御愛読ありがとうございました! (2020年1月4日 20時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
相成る - すばらしいっ!! (2020年1月2日 23時) (レス) id: c03a59c17d (このIDを非表示/違反報告)
海石榴《ツバキ》(プロフ) - 時雨 彩さん» 終わってしまうのが名残惜しいですが、とても素敵な作品をありがとうございました!! (2019年12月20日 23時) (レス) id: 906a0c9fbd (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 海石榴《ツバキ》さん» コメントありがとうございます。テストがあって更新ペースは遅い時期もありましたが、そう言っていただけて嬉しいです。御愛読ありがとうございました! (2019年12月20日 23時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨彩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年12月11日 22時

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