【月島蛍】ハロー、ロジカルボーイ【HQ】

22話 ページ22

*




「で、月島くん」

「なに」

「なぜ私は帰してもらえないのでしょうか」


仁花ちゃん達一行と山口くんは10分ほど前に月島くんの家を出た。
私は月島くんの準備を待つため、残った。

しかし、何故か月島くんは勉強を始めてしまう。
これはもう1人で帰れということでしょうか。

こんなことなら山口くんと一緒に帰ればよかった、なんて。
月島くんは私を手招きして呼ぶ。


「物理」

「え？」

「王様じゃなくて僕に聞きなよ」


私は月島くんと向かい合って座り、教科書を差し出してみる。
月島くんはパラパラとめくりどこ？と聞く。

私は身を乗り出し、教科書の公式と説明文をシャーペンで指す。


「何が分からないの？」

「運動方程式、のなんかプラスになるとかマイナスになるとか」


月島くんはルーズリーフを1枚取り出して、適当な図を書いて力の矢印を書いて私に向ける。
加速度aだとか質量mだとか。

そんな情報をその図に書き込んでいく。
月島くんはシャーペンで基本公式を書いて、応用法を話していく。


「ma=Fで、aを求めるとしたらFはわかっててmもわかってる、Fからmgを引く、それだけ」

「え、でもさ」

「摩擦はないものとする」

「はい」


月島くんはわかった？と聞く。
私が頷くと満足気に口角をあげた。
他には無いのか、と促されるがあいにくない。

理系男子はすごい、なんて思ってると月島くんは意外にも現国の教科書を出して私に差し出した。

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