【ヒプマイ】テニスよりラップバトルが好きなのですが【テニプリ】

38話目 ページ41

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それにしても、寂雷先生の部屋って家とはまた違った良い匂いがするな〜

…駄目だ。熱にやられてまともな思考回路になってない

例えるなら、定時で帰れない日が何週間も続いた独歩みたいな感じ

――あれは本当にマズいなと思った



『どうしよ、一二三に言ってないや……』



開いて居た目を閉じ、今頃夕飯を作っているか職場に行っている途中かであろう人を思い出す

が、熱のせいで上手く思考回路が回ることはないし、身体に力を入れることが出来ない

……先生に迷惑かけるとか最低最悪すぎる


がちゃり、とドアが開いたので視線をその方向へと向ける

寂雷先生だ。…起き上がらないと



「ああ、寝ていて大丈夫だよ。今一二三君と独歩君に連絡して、具合も悪いようだし夜も遅いし
　今日は私の家に泊まらせると伝えておいた。未成年が出歩く時間じゃないしね
　ここから二人のマンションからはそう遠くないけれど、風邪が悪化するといけない」



ああ、やっぱり先生は出会った時から変わらないなあ

美しさもそうだけど、何より相手に接する時の姿勢

私はMC.SNOWの時しか周りに優しく対応なんて出来ないけれど

寂雷先生は誰に対しても人当たりが良いから、尊敬する


――だから尚、罪悪感が募る



『ごめ、なさっ……』

「何、気にすることはないさ。だが、あまり無理をするのはいただけないよ
　君は元来、虚弱体質とまではいかないが身体が弱いのだからね」



また泣き出しそうになる私に対し「怒っていないから」と言って優しく微笑む寂雷先生

先生の言葉に甘えてベッドに沈めたまま、目を閉じて瞳にたまった涙を拭う

……多分、回復した後に何で風邪を引いたか聞かれるんだろうなあ

そんな事を考えながら薄っすら目を開けると、寂雷先生とぱっちり目が合った


幻覚かもしれないけれど、先生の顔が近づいてきている気がする


ぴたり、とおでことおでこがくっつく感覚

先生が自分の前髪と私の前髪を片手で上げてるから皮膚と皮膚が直接くっつく感触があって

目の前を見ると寂雷先生の綺麗な整った顔がアップで映るから

視線だけを布団のある下へ向けた


すると先生の長い髪と、私の長い髪が混じり合っているように見えてしまう

斜めに視線を向けると、先生の髪がカーテンみたいになってるし――終わった

視線を向けられる方向がない



『じゃ…じゃくらい、せん』

「ふむ……結構熱いね。熱は測ったかい？」

『や。まだ…で、す……』




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