15章 夢を彷徨う ページ2
｢……んん…｣
瞼を開けて、重たい身体をゆっくりと起こす。
確か、あの後4人とは別れたままだ。
あのままクラスメイトの女子に夜の公園に連れて行かれた先には数人のクラスメイトが居た。
好き勝手サンドバックにされた後に、確かそのまま意識は途切れた。
折角センラさんが私の傷跡を治してくれていたのに。
約一年近くは暴力なんてものとは程遠い日常を送っていたのに。
十数年、親からストレスの捌け口にされてきたけれど、彼らと過ごしていた一年は幸せなものだった。
人間、平和な生活が少しでもあると、辛いことが倍になって辛く感じてしまう。
元々、暴力を受けていたと言うのに、今日久しぶりに暴力を受けるせいかとてつもなく苦しくて辛かった。
｢ああ、起きた？どこ行ってたの？その格好｣
｢………ぇ、｣
喉からは掠れた声しか出なかった。
ニッコリと笑う厚化粧の施された母の顔。
そろそろ年齢も年齢になると言うのに髪色は明るいままだし、耳に複数個開いたピアスもそのままだった。
確か、今年で30代後半だったはず。
高校を辞めて、私を産んだと誰かから聞いたからそれぐらいのはず。
声を出そうとしても、叫び過ぎたせいでまともな声が出ない。
｢どこに行ってたか聞いてんだけど？｣
怖い、逃げろ、と頭が訴えかけてくるけれど、その意思のままに動けない。
手足からはジャラジャラと嫌な音が響くだけで、私を逃がさないように捕らえていた。
ああ、もう逃げられないんだ。
そう考えた直後に私の頭の中は絶望で真っ暗になった。
私の母はタバコの煙をゆらゆらと揺らめかせながらチッと短く舌打ちをした。
そして、口に咥えていたタバコを右手に持って───
ジュッ、と。
｢ーーーーーーーーーーっ！！｣
声にならない叫びだった。
私の頬に火のついたままのタバコの先を押し付けて鎮火させた。
久しぶりのその感覚に懐かしさなんて感じたくなくとも懐かしいと感じてしまうのが皮肉なことだった。
どこで何を間違えたと言うのだろう。
私がもう少し早く歩いていればこんなことにならなかったのかもしれない。
四人が私を守ってくれると慢心せずに少しでも警戒していればよかったのかもしれない。
そもそも、四人と過ごして夢なんか見なければ絶望しないで済んだのかもしれない。
｢ああもういい。アンタの顔見てるとイライラしてくる。今日は一言でも喋ったら殺すから｣
それだけ残して、母親は部屋から出て行った。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年6月26日 23時) (
レス) @page9 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございますー！更新遅いですがちまちま頑張って行くので見て頂けたら幸いです！ (2020年12月29日 10時) (レス) id: a183fb70e9 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - もう最新ってないですか…？鎖座波さんの作品、すごく面白くて大好きです！！ (2020年11月7日 11時) (レス) id: e7f1d7c7f6 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - すーらんさん» すーらんさんありがとうございます！！！始まり方工夫したので心臓きゅってなって貰ったの嬉しいです！（？）感情移入されるなんてもう最高です（；；）ありがとうございます！！！！！！！！ (2020年4月1日 2時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 白雨さん» ありがとうありがとう！！表紙も力入れたからそう言って貰えて嬉しいよ！本当にありがとう！頑張る〜〜〜〜！！！！！！！！！ (2020年4月1日 2時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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