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稲葉監督に言われて勇人さんを呼びに行くと
部屋の前で将大さんと話し込んでいるようだった。
おそらく寝起きであろう勇人さん。
週刊誌の件は、将大さんからもう聞かされているだろう。
ボーッとした様子で俺の姿を見つけた。
「勇人さん、俺今から監督のところに行くんで
あとで勇人さんも来てください」
用件だけ伝え、俺は監督たちの待つ会議室へ向かう。
俺は、プロ野球選手として
勇人さんのことを尊敬している。
選手としての個人の成績はもちろん
チームへの貢献、キャプテンとしての役割。
たくさんの人を惹きつける魅力のある人で
男の俺から見ても格好いいと思うし
本物のプロフェッショナルだと思っている。
Aちゃんとは出会って2年ほど。
初めは人見知りで大人しい子だと思った。
何回か顔を合わせるうちにだんだん慣れてきて
人を思いやれる優しい子なんだってわかった。
球児さんや秋山や、彼女に関わるみんなが
優しい彼女を可愛がっていて
俺自身も妹みたいに思っていて…。
Aちゃんが嬉しい、楽しいと喜んでくれるなら
これから先、俺たちと同じ時間を過ごしても
構わないと思ってた。
でも…
でも今回は違う。
こんな形でAちゃんが表に出てしまって
今後の彼女の人生に大きく影響が出るなら
………俺は、勇人さんを許さない
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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年7月4日 19時